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2015/3/1

化学療法未治療のmCRPC患者に対するエンザルタミドの有効性と安全性を確認、フェーズ3のPREVAIL試験の日本人の解析結果【ASCO GU 2015】

森下紀代美=医学ライター

 転移を有する去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)で化学療法の治療歴がない患者を対象として、エンザルタミドとプラセボを比較した国際的なフェーズ3試験(PREVAIL試験)から、日本人患者のサブグループ解析が行われ、有効性と安全性は試験の全対象と全般的に一致し、エンザルタミドの臨床的に明らかな有用性が示された。2月26日から28日までオーランドで開催されたGenitourinary Cancers Symposium(ASCO GU2015)で、日本医科大学泌尿器科学教室の木村剛氏が発表した。

 PREVAIL試験の対象は、アンドロゲン遮断療法(ADT)で増悪を認めたmCRPCで、化学療法の治療歴がなく、無症候性または症状が軽度の患者だった。エンザルタミド160mg/日を投与する群(エンザルタミド群)またはプラセボを投与する群(プラセボ群)のいずれかに、1対1で患者をランダムに割り付けた。両群ともにADTは継続し、試験治療は画像診断による増悪または化学療法の開始のために中止するまで継続した。

 同試験の主要評価項目は全生存期間(OS)と画像診断による無増悪生存期間(radiographic PFS:rPFS)だった。PSA奏効は、治療開始前からnadir(最低点)までの減少が50%以上確認された場合と定義した。

 1717人が登録され、エンザルタミド群872人、プラセボ群845人となった。中間解析では、エンザルタミド群において、画像診断(中央判定)による増悪のリスクは81%(ハザード比0.186、p<0.0001)、死亡のリスクは29%(ハザード比0.706、p<0.0001)減少し、プラセボ群に対する有用性が示された。同試験は中間解析の後に中止となった

 木村氏らは、PREVAIL試験の事後解析として、同試験に参加した日本人患者のサブグループにおける有効性、安全性、薬物動態を評価し、全対象との整合性を検討した。

 日本人患者は61人で、エンザルタミド群に28人、プラセボ群に33人が割り付けられた。年齢中央値はエンザルタミド群73歳(範囲:57-93)、プラセボ群69歳(範囲:49-89)だった。患者背景では、BMI中央値は日本人患者で低く、全対象では両群ともに27.5kg/m2、日本人患者ではエンザルタミド群23.5kg/m2、プラセボ群24.4kg/m2だった。体重の中央値は、全対象ではエンザルタミド群83.1kg、プラセボ群82.8kg、日本人患者ではそれぞれ64.8kgと68.9kgだった。また、ECOG PSは日本人患者で優れ、PS 0の患者はエンザルタミド群89.3%、プラセボ群81.8%で、全対象ではそれぞれ67.0%と69.2%だった。日本人患者では治療開始前の疼痛の頻度が低く、コルチコステロイドが多く使用されていた。

 結果として、日本人患者のエンザルタミド群では、画像診断(中央判定)よる増悪のリスクは70%(ハザード比0.30[95%信頼区間:0.03-2.95])減少した。試験担当医師の評価でも治療効果は一致していた。日本人患者では追跡期間が限られ、イベントの発生も少なかったため、推定される中央値は不安定であるが、rPFS中央値はエンザルタミド群3.7カ月(95%信頼区間:3.6-未到達)、プラセボ群未到達(95%信頼区間:1.9-未到達)と報告された。

 死亡のリスクも、エンザルタミド群で41%(ハザード比0.59[95%信頼区間:0.20-1.78])減少した。OS中央値は、エンザルタミド群で未到達(95%信頼区間:18.9-未到達)、プラセボ群も未到達(95%信頼区間:17.8-未到達)だった。

 さらに4カ月間追跡した最新のOSの解析結果も発表され、日本人患者のエンザルタミド群ではプラセボ群と比べて、死亡のリスクが63%(ハザード比0.37[95%信頼区間:0.13-1.04])減少したことがわかった。

 副次的評価項目では、化学療法開始までの期間の中央値は、エンザルタミド群で未到達、プラセボ群10カ月で、ハザード比は0.46(95%信頼区間:0.20-0.96)だった。PSA奏効は、エンザルタミド群60.7%、プラセボ群21.2%となった。

 血漿中のエンザルタミド濃度は、全対象と比べて日本人患者は体重が少ないことに関連してやや高く、13週時のトラフ濃度の幾何平均値は全対象では12.3μg/mL、日本人患者では13.8μg/mLだった。

 日本人患者のエンザルタミドの投与継続期間中央値は16.1カ月で、全対象と同様に長期に投与が可能だった。日本人患者における有害事象、重篤な有害事象の発現頻度は、全対象と一致していた。日本人患者におけるグレード3以上の有害事象は、エンザルタミド群32.1%、プラセボ群39.4%、重篤な有害事象はそれぞれ25.0%と21.2%に発現した。薬剤に関連するグレード3以上の有害事象は、エンザルタミド群3.6%、プラセボ群6.1%と少なかった。日本人患者で多く観察された有害事象は、体重減少(18.2%)、食欲低下(15.2%)、便秘(12.1%)、骨痛(12.1%)などだった。

 木村氏は「疾患や患者の背景では全対象と日本人である程度の差がみられたが、エンザルタミドの有効性、安全性、薬物動態に重要な影響はみられなかった。ただし、他の国際的なフェーズ3試験と同様に、登録された日本人患者の数は61人と小さいため、結果の解釈には注意する必要がある」と述べた。

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