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2015/2/27

米国では2011-2013年に中間リスクまたは高リスクの前立腺癌が約6%増加【ASCO GU2015】

森下紀代美=医学ライター

 米国では、2011年から2013年までに、中間リスクまたは高リスクの前立腺癌と診断された男性の割合が約6%増加していることが、データベースNational Oncology Data Alliance(NODA)を用いた解析からわかった。2月26日から28日までオーランドで開催されているGenitourinary Cancers Symposium(ASCO GU2015)で、米City of Hope National Medical CenterのMatthew David Hall氏が発表した。

 米国予防医学作業部会(USPSTF)は、2011年、前立腺癌を疑わせる症状がない男性を対象としたPSAを用いた前立腺癌検診は、年齢に関わらず行わないよう勧める勧告(案)を発表した。2012年5月には、最終的な形で発表されている。

 Hall氏らは、2005年から2013年までに前立腺癌と診断された患者について、PSAとNational Comprehensive Cancer Network(NCCN)リスク分類の評価を行うことを目的として、本研究を行った。

 解析対象は、2005年1月から2013年6月までに前立腺癌と診断された8万7562人。患者のデータの収集には、米国の150以上の病院で新たに癌と診断された症例を記録している独自のデータベースで、米国外科学会(ACOS)の基準に従って作成されているNational Oncology Data Alliance(NODA)を利用した。NODAを選択した理由は、解析時において、2011年から2013年のデータが米国国立癌研究所(NCI)のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)のデータベースでは入手できず、NODAでは入手可能だったためだった。ただし、NODAのデータは、国の癌登録(state tumor registries)に提出されるものと同じであり、最終的にはSEERと同じものとなる。

 診断日、年齢、人種、T stage、Gleasonスコア、PSA、転移病変の有無に関するデータを収集し、局所病変を有する患者をNCCNリスク分類で分類した。発症の頻度は診断日で検討し、6カ月間隔でグループに分けた。

 全対象の年齢中央値は66歳、白人が81.7%、cT stageではT1が66.5%で最も多かった。Gleasonスコアでは6が42.6%で最も多く、次いで7の39.3%だった。PSAが10ng/mL未満の患者は60.7%だった。NCCNリスク分類では、低リスクは26.9%、中間リスクは35.9%、高リスクは28.7%となり、転移は5.3%で認めた。

 2005年から2011年までは、PSAが10ng/mLを超える中間リスクまたは高リスクの男性の割合は徐々に減少した。しかし、2011年から2013年までの間は、この割合は1年あたり3%増加していた(p<0.0004)。75歳以上でPSAが10ng/mLを超える男性の割合は、2011年以降は1年あたり5.8%増加し(p<0.015)、75歳以上の男性では、この増加率が2011年から2013年の間に全年齢層の約2倍となっていた。

 Gleasonスコアでは顕著な傾向はみられなかった。T3-T4の割合は、2011年に増加した以降は明らかな変化はなく、期間全体で減少していた。

 NCCN分類では、2011年以前の中間リスクまたは高リスクの割合は70-73%で安定していたが、2011年以降は1年あたり2.9%増加し(p<0.003)、プラトーは認められなかった。

 SEERプログラムによると、米国では2014年に新たに23万3000人に前立腺癌が発症すると推定されている。10年時の前立腺癌特異的生存率は、低リスクでは95%を超え、中間リスクでは75-90%、高リスクでは60-80%となる。

 今回のデータからは、2011年以降、約6%の男性が低リスクから高リスクに移行しており、1年あたり約1万4000人でより高いリスクに移行することが示唆されている。1年あたりの前立腺癌による死亡は、従来の推定よりも1400件以上増加すると推定される。

 今回の検討は、2011年のUSPSTFの勧告が発表されてから初めて前立腺癌の発症の変化を評価したものとなる。Hall氏は、「今回の結果がUSPSTFの勧告に帰するものになりうるか否かは確かではない」としている。

 NCCNと米国癌協会はPSAスクリーニングを支持している。Hall氏は、PSAスクリーニングについて、「治療が不要な男性にも前立腺癌を診断することにつながる。前立腺癌患者全員に治療が必要な訳ではなく、現実に即さないスクリーニングプログラムは有害となる」とコメントした。

 同氏は「今回発表したデータは、SEERによる発表がまだされていないものであり、前立腺癌の診断における早期の指標である。解釈には注意が必要」としている。

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