米Eli Lilly社は11月5日、抗VEGF受容体2抗体薬ramucirumabとパクリタキセルの併用療法が、フッ化ピリミジン系製剤もしくはプラチナ系製剤を用いた化学療法を受けた進行または転移性の胃癌・胃食道接合部腺癌の治療薬として、米食品医薬品局(FDA)によって承認されたと発表した。
米国では2014年4月に、ramucirumabの単剤投与が、進行または転移性の胃・胃食道接合部腺癌に対して承認されている。
今回の承認は、ramucirumabとパクリタキセル併用(ramucirumab群)と、プラセボとパクリタキセル併用(プラセボ群)を比較した多施設共同無作為化二重盲検フェーズ3試験RAINBOWの結果に基づくもの。試験には北米、南米、欧州、オーストラリア、アジアの27カ国から665人が登録され、日本も参加している。
同試験ではramucirumab群で主要評価項目の全生存期間(OS)、副次評価項目の無増悪生存期間(PFS)の有意な延長が報告されている。OS中央値はramucirumab群が9.6カ月、プラセボ群が7.4カ月、ハザード比は0.81、p=0.017だった。またPFS中央値はramucirumab群が4.4カ月、プラセボ群が2.9カ月、ハザード比は0.64、p<0.001となった。
主な有害事象として、ramucirumab群で30%以上に発現し、プラセボ群よりも2%以上多く発現したのは、倦怠感(ramucirumab群57%、プラセボ群44%)、好中球減少症(同54%、31%)、下痢(同32%、23%)、鼻出血(同31%、7%)だった。ramucirumab群における重篤な有害事象は、好中球減少症(3.7%)、発熱性好中球減少症(2.4%)で、ramucirumab群の19%の患者はG-CSFの投与を受けた。
Ramucirumabの添付文書には、枠付きの警告として出血のリスクが記載され、動脈血栓塞栓症イベント、高血圧、注射関連反応、消化管穿孔、創傷治癒障害、Child-Pugh BまたはC肝硬変患者の臨床的悪化、可逆性後白質脳症症候群についての警告や使用上の注意も記されている。