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2014/9/22

癌患者に対する緩和ケア、国によるギャップが明らかに

森下紀代美=医学ライター

 欧州臨床腫瘍学会(ESMO)が9月19日に発表したプレスリリースによると、癌患者に対する緩和ケアにはギャップがあることが新たな研究から示された。この知見は、9月26日から30日までスペイン・マドリッドで開催されるESMO2014で発表される予定で、欧州、カナダ、南米、アフリカの15の癌専門施設が「ESMO Designated Centre of Integrated Oncology and Palliative Care」に認定される際に明らかになる。

 ESMO Palliative Care Working Groupのメンバーである、ルーマニアInstitute of Oncology BucharestのAlexandru Grigorescu氏は、「緩和ケアの統合が課題となっている。特に財源が乏しい国々では、医療のための予算が少なく、緩和ケアの専門家が不足しており、病院は資金不足から入手できない薬剤がある」と指摘した。

 ESMOでは、臨床腫瘍の部門で行われている特定の癌治療を緩和ケアと統合し、新しいアプローチを導入している。そうした状況の中、Grigorescu氏らは、治癒不能な進行癌患者を対象として、緩和ケアのニーズと実際の状況を評価する、前向きの長期的な多施設共同研究を行った。

 研究にはルーマニアの5施設とスイスの1施設が参加し、対象は進行癌患者291人(年齢中央値61.5歳、女性52%)となった。主な癌腫は、肺癌、消化器癌、泌尿生殖器癌で、78%が化学療法を受けていた。197人で1年以上の追跡が可能だった。

 その結果、患者の17%は緩和ケアを受けておらず、26%は症状に対する取り組みが何もなされなかったことがわかった。また患者の5人に1人は、終末期の問題について医療の専門家と話し合いたいと望んでいたが、実際に行われたのは15%に過ぎなかった。ケアプランが作成されたのは10%のみだった。

 Grigorescu氏は「治癒不能な進行癌患者に対する緩和ケアは、実際の状況に明らかなギャップがあることが示された。私たちは、本研究が終末期の患者に対する医療の重要性を指摘するものとなることを望んでいる」と話した。同氏によると、ルーマニアでは緩和ケアの独立した専門性が確立されておらず、臨床腫瘍医が担当せざるをえないという。

 癌患者に良質の緩和ケアを提供できるよう、ESMOは「ESMO Designated Centres of Integrated Oncology and Palliative Care accreditation programme」などを通し、促進している。同プログラムは、各施設が腫瘍学と緩和ケアを統合させたプログラムを開発できるよう、動機づけと構造化されたモデルを提供する初の世界的な試みであり、2003年に開始された。同プログラムの認定を受けられるのは、腫瘍学と緩和ケアが高い標準で統合されている施設とされ、認定の有効期間は3年間である。これまでに175施設が認定されており、このうち25施設は財源などが乏しい国の施設である。今年は新たに15施設が加わり、44施設が再認定される。

 ESMOは、基本的な疼痛緩和について、有効性と利用可能性を妨げる要因の同定に関し、欧州および発展途上国で中心的な役割を果たしている。ESMO Palliative Care Working Groupの前会長であるNathan Cherny氏は、「緩和ケアは、欧州および世界の研究、教育、公衆衛生の政策に関するESMOの任務において、中心的な部分となってきている。今回新たに認定または再認定される施設がより多くの癌患者に適切で質の高い緩和ケアを提供できるよう最善を尽くすことで、状況は改善する」としている。

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