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2014/7/22

乳癌術後補助化学療法におけるタキサンとアントラサイクリンでは味覚異常のプロファイルが異なる【臨床腫瘍学会2014】

森下紀代美=医学ライター

 乳癌の術後補助化学療法における味覚異常について、タキサンとアントラサイクリンを比較した前向き研究から、味覚異常の出現と回復のパターンが異なり、味覚5味の感じ方にも違いがみられることが示された。7月17日から19日まで福岡市で開催された第12回日本臨床腫瘍学会学術集会で、千葉県がんセンター外来化学療法科の辻村秀樹氏が発表した。

 味覚異常は治療成績や生命予後に直接関係しないため、軽視されてきた。しかし、化学療法中の味覚異常は栄養やQOLを左右する。

 辻村氏らは、TC療法(ドセタキセル、シクロホスファミド)とFEC療法(フルオロウラシル、エピルビシン、シクロホスファミド)における味覚異常の違いを過去に報告している。今回は、FEC療法に引き続き行われるDOC(ドセタキセル)単独療法のデータを加え、タキサンとアントラサイクリンの特徴を検証した。

 検討の目的は、化学療法を初めて受ける患者の味覚異常を経時的に追跡すること、味覚異常の強弱だけでなく、基本5味の推移を把握すること、抗癌剤・レジメンによる量的、質的、時間的な違いを検証することだった。

 対象は、術後補助療法を受ける早期乳癌患者で、化学療法未経験であることとした。治療内容は、FEC療法、FEC療法→DOC単独療法、TC療法で、いずれも3週間毎に4サイクル行われた。

 患者が毎日記載する自記式調査票を用いて、味覚に関連する15項目を数値化した。味覚変化は3段階(CTCAE)、おいしさは5段階、味覚異常の質(塩味・甘味・旨味・酸味・苦味)は5段階で評価した。味覚5味では、変化がない「ふつう」を0とし、「とても強く感じる」の+2から「全く、またはほとんど感じない」の−2まで、5段階で数値化した。さらに関連項目として、食欲不振、悪心・嘔吐、口内炎、口内乾燥、だるさ、しびれも評価した。

 TC療法を受けた患者18人、FEC療法を受けた24人(このうちFEC療法→DOC療法を受けた患者は18人)から結果が得られた。年齢中央値は、TC療法を受けた患者では54歳、FEC療法を受けた患者では55歳だった。全例女性だった。

 第1コースを5つの期間に分け、グレード2の味覚異常の出現率を比較すると、TC療法では0-44-50-30-0%、FEC療法では29-25-29-21-8%、DOC単独療法では35-59-65-59-35%だった。

 TC療法では症状は一時的でその後回復するが、FEC療法では開始直後に症状が現れ、回復せずに蓄積する傾向がみられた。DOC単独療法では、TC療法よりも高い頻度で現れ、回復もしにくい傾向が示され、粘膜障害の影響を受けている可能性が示唆された。

 味覚5味の変化をみると、TC療法では全体的に味が弱くなる傾向がみられた。FEC療法では旨味を除き、味が強く感じられる傾向にあった。DOC単独療法では、TC療法と同様に味が弱くなる傾向がみられた。

 第2コースにおける最高値の平均を比較すると、塩味/甘味/旨味/酸味/苦味の順に、TC療法では−0.38/−0.26/−0.71/−0.38/−0.12、FEC療法では0.43/0.38/−0.24/0.19/0.57、DOC単独療法では0/0.17/−0.67/−0.17/−0.17だった。第4コースでも同様の傾向がみられた。

 辻村氏は「タキサンとアントラサイクリンでは、味覚異常のプロファイルが明らかに異なった。FEC療法後のDOC単独療法はTC療法と同様の傾向を示し、タキサンの特徴が明確になった。またDOC単独療法はTC療法より症状が強く現れることから、前治療の影響を強く受けると考えられた。それぞれの特徴に対応した多面的な対応が求められる」と述べた。

 ただし、味覚異常に有効な薬物療法はない。千葉県がんセンターはキッコーマン株式会社との共同研究から、味覚異常の変化に対応できるレシピを開発している。レシピは同センターのホームページで閲覧できる。

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