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2014/7/1

KRAS野生型の大腸癌のファーストライン治療として化学療法+ベバシズマブと化学療法+セツキシマブはPFSの詳細な評価でも差はなし、CALGB試験より【WCGC2014】

森下紀代美=医学ライター

 KRAS野生型の転移を有する大腸癌のファーストライン治療として、化学療法+ベバシズマブと化学療法+セツキシマブを比較したフェーズ3のCALGB/SWOG80405試験から、すでに発表された全生存期間(OS)の結果に加え、無増悪生存期間(PFS)の詳細な評価とこれまでに得られた奏効率のデータでも、両レジメンで差がないことが示された。6月25日から28日までスペイン・バルセロナで開催された第16回世界消化器癌学会(WCGC2014)で、米国University of CaliforniaのAlan P. Venook氏が発表した。

 CALGB/SWOG80405試験の対象は、KRAS野生型(コドン12、コドン13)の転移を有する大腸癌で、PS 0または1の患者だった。FOLFIRIまたはFOLFOX(医師または患者が登録時に選択)に加え、セツキシマブ(週1回、初回は400mg/m2、2回目以降は250mg/m2)またはベバシズマブ(2週毎、5mg/kg)を投与する群に、患者をランダムに割り付けた。主要評価項目は全生存期間(OS)だった。

 同試験は当初、KRASによる患者選択を行わずに、転移を有する大腸癌患者をFOLFIRIまたはFOLFOXと、セツキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ+ベバシズマブを投与する群のいずれかにランダムに割り付ける形だった。2009年6月、KRAS野生型の患者のみを対象とするよう変更され、セツキシマブ+ベバシズマブの群は中止された。

 2005年11月から2012年3月までに登録された3058人の無選択の患者のうち、最終的にKRAS野生型の患者1137人が対象となり、化学療法+ベバシズマブ群559人、化学療法+セツキシマブ群578人となった。両群ともに年齢中央値は59歳、男性が約60%だった。FOLFOXとFOLFIRIが施行されたのは、化学療法+ベバシズマブ群ではそれぞれ73%と27%、化学療法+セツキシマブ群では74%と26%だった。追跡期間中央値は24カ月だった。

 第11回目の中間解析の結果は、今年6月に米国で開催された第50回米国臨床腫瘍学会(ASCO2014)で発表された。OS中央値は、化学療法+ベバシズマブ群29.0カ月、化学療法+セツキシマブ群29.9カ月、ハザード比0.925(95%信頼区間:0.78-1.09)で有意差はなかった(p=0.34)。化学療法別の評価では、FOLFOXと比べてFOLFIRIの場合にベバシズマブ、セツキシマブともにOS中央値はやや延長したが、有意差はなかった。

 副次的評価項目である無増悪生存期間(PFS、試験担当医師の判定)でも、有意差はなかった。PFS中央値は、化学療法+ベバシズマブ群10.8カ月、化学療法+セツキシマブ群10.4カ月、ハザード比1.04(95%信頼区間:0.91-1.17)だった(p=0.55)。

 今回は、PFSを化学療法別に評価した結果が発表された。FOLFOX+ベバシズマブ群のPFS中央値は10.3カ月(95%信頼区間:9.3-11.1)、FOLFOX+セツキシマブ群では10.6カ月(95%信頼区間:9.6-11.4)だった。FOLFIRI+ベバシズマブ群のPFS中央値は11.6カ月(95.5信頼区間:10.3-12.9)、FOLFIRI+セツキシマブ群では10.3カ月(95%信頼区間:9.2-12.6)、ハザード比は1.0(95%信頼区間:0.8-1.3)で有意差はなかった(p=0.89)。

 これまでに得られた733人の奏効率(試験担当医師の評価)のデータでは、化学療法+ベバシズマブ群(369人)57%、化学療法+セツキシマブ群(364人)66%、完全奏効(CR)はそれぞれ3%と7.4%、部分奏効(PR)は54%と58%だった。

 これらの奏効率を化学療法別にみると、FOLFOX+ベバシズマブ群56%、FOLFOX+セツキシマブ群67%、FOLFIRI+ベバシズマブ群61%、FOLFIRI+セツキシマブ群62%だった。

 毒性については、各薬剤の既知の安全性プロファイルと同様だった。転帰や治療中止の理由でも、治療による差はみられなかった。

 本試験では、奏効率、奏効の深さ(depth of response)、治療期間、用量強度、NED(疾患の徴候なし)が得られた患者などのサブグループ解析、セカンドライン以降の治療の詳細などについて解析中であり、今後の学会で発表される予定である。

 KRASだけでなく、RASすべてが野生型の患者に限定すれば、結果が変わる可能性もあることから、数多くの標本を用いて、RASの広範な解析など、包括的な分子の解析も進められている。

 Venook氏はFIRE-3試験との比較も示し、「RASの解析結果が出るまでに、本試験とFIRE-3試験の結果の違いに関与したと考えられるベバシズマブのバイオマーカーの探索も必要。RAS野生型の転移を有する大腸癌患者には選択肢があり、ファーストライン治療には患者の希望や副作用への懸念を反映させるべき」と結んだ。

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