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2014/6/30

85歳以上の超高齢者の大腸癌に対する腹腔鏡下手術は安全に施行可能【WCGC2014】

森下紀代美=医学ライター

 85歳以上の超高齢者の大腸癌患者に対する腹腔鏡下手術の検討から、安全に施行可能で、消化管の機能の早期回復と在院日数の短縮の点から有用と考えられる結果が示された。6月25日から28日までスペイン・バルセロナで開催された第16回世界消化器癌学会(WCGC2014)で、虎の門病院消化器外科(下部消化管)の富沢賢治氏が発表した。

 日本では大腸癌の発生率が上昇しており、高齢者が手術を受ける機会も増加している。大腸癌に対する腹腔鏡下手術は治療法として受容されているが、高齢者に対する意義は不明である。

 そのため富沢氏らは、85歳以上の超高齢者の大腸癌患者に対する腹腔鏡下手術の安全性を明らかにすることを目的として検討を行った。

 同院では、大腸癌に対する手術としてほぼ全例に腹腔鏡下手術を行っており、手術手技および術後管理が確立されている。2001年から2013年までに同院で大腸癌に対し腹腔鏡下手術を行ったのは3295人で、このうち85歳以上の患者は77人だった。この77人を今回の評価の対象とした。

 患者の年齢中央値は87歳(範囲:85-98)で、男性27人、女性50人だった。術前のPSは、0が52人(68%)と多くを占めたが、3以上の患者も5人含まれた。術前の併発症では心血管疾患が42人(55%)と多く、脳血管疾患は15人(19%)、肺疾患は7人(10%)が有していた。腫瘍の部位は、盲腸が9人、上行結腸が20人、横行結腸が7人、下行結腸が4人、S状結腸が16人、直腸が21人だった。TNM分類による病期は、0期が2人、I期が16人、IIA期が24人、IIB期が7人、IIC期が3人、IIIA期が9人、IIIB期が6人、IIIC期が6人、IV期が4人となった。

 手術時間の中央値は204.5分(範囲:50-578)、推定される出血量の中央値は44.5mL(範囲:0-538)だった。開腹手術への移行が必要だったのは1人(1.2%)のみで、過去の胆嚢摘出術による腹腔内の癒着のためだったが、術中合併症は発生しなかった。また超高齢者では、炭酸ガスによる気腹で循環動態が変動すると合併症が発生しやすく、その場合は開腹手術への移行が必要になるが、対象の77人では気腹に関連する合併症は発生しなかった。

 術後合併症は21件(27%)に発生し、内訳はせん妄7件(9%)、術後腸閉塞5件(6.5%)、手術部位感染(SSI)5件(6.5%)、尿路感染症1件(1.2%)、術後肺炎1件(1.2%)(重複例を含む)で、いずれも改善した。縫合不全、手術関連死亡は発生しなかった。

 65人(84%)は術後1日目に歩行可能となった。中央値で、排ガスは術後2日目(範囲:0-4)にみられ、流動食の摂取は術後3日目(範囲:1-7)に可能となった。術後の在院日数は中央値で12日(範囲:8-93)だった。

 今回は超高齢者を対象とした検討だったが、術後合併症の発生頻度は低かった。富沢氏によると、大腸癌に対する腹腔鏡下手術は超高齢者と若年の患者で同様に行っており、安全に施行可能な背景として、同院では手術手技や術後管理が確立されていること、術前から患者・家族に術後早期の歩行開始と早期離床の重要性を強調していることが考えられるという。

 富沢氏らは「超高齢者に対する腹腔鏡下手術は、低侵襲性と早期回復により、理想的な手術の選択肢と考えられる」としている。

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