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2014/6/6

FDG-PETでHER2陽性の早期乳癌に対する術前化学療法を最適化できる可能性【ASCO2014】

久保田文=日経バイオテク

 HER2陽性の早期乳癌患者に対して、術前化学療法開始直後のFDG-PETの変化率を評価することで、その後の術前化学療法を最適化できる可能性が示された。5月30日から6月3日まで米国シカゴで開催された第50回米国臨床腫瘍学会(ASCO2014)において、フランスのジョルジュ・フランソワ・ルクレール(Georges-Francois Leclerc)がんセンターのBruno P. Coudert氏が発表した。

 今回行われたのは、18歳以上で病期がT2またはT3のHER2陽性早期乳癌を対象とした多施設非盲検無作為化比較試験(AVATAXHER試験)。術前化学療法の適応となる患者が登録された。試験では、術前化学療法開始直後のFDG-PETの結果から病理学的奏効が期待できない患者を選別し、トラスツズマブとドセタキセルにベバシズマブを加えた3剤併用療法の有用性を評価した。

 試験ではまず、全被験者にトラスツズマブとドセタキセルによる併用療法を2サイクル実施。治療前と1サイクル後にFDG-PETを施行し、腫瘍組織へのFDGの集積度合いの指標であるSUV(standardized uptake value)を測定。2サイクル終了後に、治療前と1サイクル後のSUVの変化率に応じて被験者を振り分け、さらに術前化学療法を行った。

 SUVの変化率が70%以上だった被験者に対しては、引き続きトラスツズマブとドセタキセルによる併用療法を4サイクル実施し、さらにトラスツズマブの単剤療法を1サイクル施行(標準療法群)。SUVの変化率が70%未満だった被験者は、2対1の割合でA群とB群に無作為割り付けを行い、A群にはトラスツズマブとドセタキセルにベバシズマブを加えた併用療法を4サイクル実施し、B群には標準療法群と同様、トラスツズマブとドセタキセルによる併用療法を4サイクル施行した。その後、両群にはさらにトラスツズマブの単剤療法を1サイクル行った。

 術後はトラスツズマブ単剤によるアジュバント療法を11サイクル実施し、治療を終了した。その間、必要に応じて放射線療法を施行することや、ホルモン受容体陽性の被験者にホルモン療法を行うことができた。また治療後、5年間の追跡期間中にもホルモン療法を行うことが認められた。

 主要評価項目は、SUVの変化率が70%未満でA群に振り分けられた被験者の病理学的完全奏効率。副次評価項目は、SUVの変化率が70%未満でB群に振り分けられた被験者の病理学的完全奏効率や、乳房温存術の施行率、安全性など。試験のデザイン(fleming's single stage design)上、A群に48人が割り付けられ、うち12人が病理学的奏功を示せば、トラスツズマブとドセタキセルにベバシズマブを加える3剤併用療法の有効性が示される計画だった。

 安全性解析対象患者は152人、治療を遂行した解析対象患者は142人。内訳はSUV変化率が70%以上の標準療法群が69人、A群が48人、B群が25人。各群の平均SUV変化率はそれぞれ、81.4%、49.0%、55.4%だった。閉経後患者は標準療法群37.7%、A群31.3%、B群20.0%だった。ERもしくはPR陽性例は標準療法群58.0%、A群60.4%、B群60.0%だった。

 病理学的完全奏効率は、標準療法群で53.6%(37人)、A群で43.8%(21人)、B群で24.0%(6人)。ER、PRいずれも陰性だったサブグループにおいて、標準療法群のpCRは69.0%、A群57.9%、B群40.0%、ERかつ/もしくはPRが陽性だったサブグループにおいては、標準療法群42.5%、A群34.5%、B群13.3%だった。乳房温存術施行率は、標準療法群で84.8%(56人)、A群で67.4%(29人)、B群で62.5%(15人)となった。

 グレード3または4の有害事象は、割り付け前までに全被験者の43.4%に見られ、最も多かったのは24.3%に認められた好中球減少症だった。割り付け後は、標準療法群で22.4%、A群で40.4%、B群で36.0%にグレード3または4の有害事象が認められた。A群の有害事象のうち注目されたのは、12.8%に見られた好中球減少症、4.3%に認められたベバシズマブ関連と考えられる血栓塞栓症、2.1%が呈した創傷治癒合併症、2.1%に認められた血栓塞栓症だった。

 試験の結果、A群には48人が割り付けられ、43.8%に当たる21人が病理学的奏効を達成したことから、3剤併用療法の有効性が示唆された。Riedinger氏は、「SUVの変化率が低く、病理学的奏効が期待できない患者に対して3剤併用療法を行うことで、奏効率が向上すると考えられる」と説明。また、グレード3または4の心血管系の有害事象が認められなかったことなどから、同氏は「毒性も許容範囲である」との認識を示した。

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