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2014/6/3

転移性前立腺癌ではホルモン感受性のうちにドセタキセルを併用することで全生存期間が13カ月有意に延長【ASCO2014】

中西美荷=医学ライター

 ホルモン感受性転移性前立腺癌に対する標準ホルモン療法にドセタキセルを併用することによって、全生存期間が約13カ月、高腫瘍量の患者に限ると17カ月有意に延長することが分かった。連邦政府研究として実施されたランダム化フェーズ3試験CHAARTED(E3805)で示されたもので、5月30日から6月3日まで米国シカゴで開催されている第50回米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、米国Dana-Farber Cancer InstituteのChristopher Sweeney氏が報告した。

 テストステロン抑制による前立腺癌の退縮、生存ベネフィットが明らかになったのは1940年代で、その後70年以上にわたってアンドロゲン除去療法(ADT)が行われてきた。しかし高腫瘍量の患者では、いまだ生命予後不良である。

 初期治療としてのADTと化学療法の併用については賛否両論があるが、今回、「ドセタキセルをADT開始時に併用することで、転移性前立腺癌の全生存期間(OS)が延長する」との仮説が検証された。

 主な登録基準は、転移性前立腺癌でECOG 0-2(2は前立腺癌が原因の場合のみ可)、肝臓、骨髄、腎、心臓、肺および神経学的機能がドセタキセル投与可能な程度に維持されている、ドセタキセル前治療なし―など。2006年7月28日から2012年11月21日までに790例を登録。転移の大きさ、年齢、ECOG PS、30日以上の複合アンドロゲン阻害療法(CAB)の有無、骨関連事象(SRE)予防薬使用の有無、アジュバントADT(12カ月を超えるか否か)で層別化した後に、ドセタキセル併用群(ADT+ドセタキセル75mg/m2、3週毎投与、最大6サイクル)またはADT群に無作為割付した。

 主要エンドポイントはOS、副次エンドポイントは6、12カ月におけるPSA<0.2ng/mLの割合、生化学的、放射線学的または症候性の疾患進行(PD)までの時間、放射線学的または症候性のPDまでの時間、有害事象プロファイルおよび忍容性、ランダム化後12カ月までのQOL(FACT-P)。今回報告されたのは、2014年1月16日までの追跡機間中央値29カ月における解析結果。

 両群の患者背景は同様で、ドセタキセル併用群対ADT群で、年齢中央値は64歳(36-88)対63歳(39-91)、白人の割合が88.7%対87.3%、ECOG PS 0が69.7%対69.6%、高腫瘍量の患者が66.2%対63.9%、Gleasonスコア8以上は67.2%対70.0%、ADT開始時のPSA中央値は56.0ng/mL対50.5ng/mL、局所療法未治療が72.8%対73.0%、放射線療法既往6.8%対8.4%、前立腺摘除20.4%対18.6%、ADT開始からランダム化までの期間はともに約1年(1.1年対1.2年)だった。

 解析時における死亡数は、ドセタキセル併用群(397例)101例、ADT群(393例)136例。OS中央値は、ドセタキセル併用群56.7カ月で、ADT群の44.0か月と比較して有意に延長した(ハザード[HR]比0.61(0.47-0.80)、p=0.0003)。高腫瘍量(骨転移4以上、軸骨格を超えた骨転移1以上または内臓疾患)の患者に限ると、OS中央値はそれぞれ49.2カ月、32.2カ月で、17カ月の改善が認められた(HR 0.60[0.45-0.81]、p=0.0005)。一方、低腫瘍量では両群ともにOS中央値未達(HR 0.63[0.34-1.17]、p=0.1398)だった。またドセタキセルによる生存ベネフィットは、すべてのサブグループで一貫して認められた。

 副次エンドポイントの6カ月でのPSA<0.2ng/mLは27.5%対14.0%(p<0.0001)、12カ月でのPSA<0.2ng/mLは22.7%対11.7%(p<0.0001)。去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)となるまでの時間は20.7カ月対14.7カ月(HR 0.56[95%信頼区間:0.44-0.70]、p<0.0001)。臨床的進行までの時間中央値は32.7カ月対19.8カ月(HR 0.49[95%信頼区間:0.37-0.65]、p<0.0001)だった。

 ドセタキセル併用群の87.5%が6サイクルの治療を完了し、74%は用量変更が不要だった。非血液毒性、血液毒性ともに、ドセタキセルで報告されているものと一貫していた。

 Sweeney氏は、「標準ADTに6サイクルのドセタキセルを加える治療法は、ADTを開始する転移性前立腺癌患者における適切な選択肢である。ただし低腫瘍量の患者については、さらに長期の追跡が必要である」との見解を示した。

 ディスカッサントのMichael J. Morris氏(Memorial Sloan Kettering Caner Center)は、2004年のASCO年次集会で、化学療法によってCRPCのOS改善を示した2試験(SWOG 99-16、TAX 327)の結果が報告されたことに言及。「これらの試験では、生存期間延長は約2カ月、死亡リスク低下は20-25%だったが、10年後の今日、去勢抵抗性となる前に化学療法を行うことで、大きな効果につながることが示された」と解説した。

 またこれまでCRPCのOSを延長してきたすべての薬剤で、その期間は2.2カ月から5.2カ月だったことを紹介し、今回、高腫瘍量の患者で示されたOS改善17カ月、死亡リスク低下40%が、いかに大きな効果であるかを示唆。あまりに大きい効果について、「信じてもいいのか?」を検証した。

 たとえば同様のデザイン(ADT+ドセタキセル9サイクル)のGETUG-15試験ではOS改善を認めていないが、低〜中等度リスク患者がCHAARTEDの34%と比較して77%と多いなどの違いがあり、「GETUG-15はむしろ、低リスクの患者に対しては、進行するまで化学療法を加えるベネフィットはないことを示唆したもの」との見解を示した。またCHAARTEDのADT群の成績が悪すぎた可能性については、「3040例を登録したSWOG9346から計算された、高腫瘍量患者でADTを継続した場合のOSは33カ月であり、CHAARTEDのADT群の32.2カ月は妥当」と説明した。そしてドセタキセルでこれだけの効果が得られたことはコストの点でも好ましいとして、試験の意義を高く評価。課題としては、適切な疾患分布および腫瘍量の同定により、ベネフィットを受ける患者をさらに最適化していくことを挙げた。

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