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2014/6/2

HER2陽性早期乳癌の術後補助療法としてトラスツズマブとラパチニブによるHER2二重抑制はトラスツズマブ単独を上回らず【ASCO2014】

八倉巻尚子=医学ライター

 HER2陽性早期乳癌患者の術後補助療法として、トラスツズマブ単独に対し、トラスツズマブとラパチニブの逐次療法、両剤の併用療法の有効性には有意な違いがなく、有害事象はトラスツズマブ単独に比べて多い傾向にあることが、多施設共同無作為化オープンラベルフェーズ3試験ALTTOで明らかになった。ラパチニブとトラスツズマブ併用療法ではpCR率が改善することがNeoALTTO試験などで報告されていたが、その効果は生存改善にはつながらないことが示される結果となった。ベルギーJules Bordet InstituteのMartine J. Piccart-Gebhart氏らが、5月30日からシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO2014)で発表した。

 ALTTO試験(BIG 02-06/NCCTG 063D)は、HER2陽性早期乳癌患者を対象に、トラスツズマブ単独、ラパチニブ単独、トラスツズマブとラパチニブの逐次療法、両剤の併用療法による1年間の治療を比較した。なお中間解析で、ラパチニブ単独群はトラスツズマブ単独群に対し非劣性が示されなかったことから、独立データモニタリング委員会の勧告に従って、ラパチニブ単独群の治療は2011年8月18日に中止された。

 同試験では、化学療法と抗HER2抗体薬を逐次投与する場合(デザイン1)と同時併用する場合(デザイン2、デザイン2B)に分けられている。デザイン1は、術前・術後化学療法の後に抗HER2抗体薬を逐次投与する。デザイン2は、アントラサイクリン系抗癌剤を用いた化学療法を行い、次にタキサン系抗癌剤と抗HER2抗体薬を併用投与する。デザイン2Bでは、非アントラサイクリン系抗癌剤を抗HER2抗体薬と併用投与する。

 主要評価項目は無病生存期間(DFS)で、浸潤性乳癌再発、2次発癌(浸潤性対側乳癌もしくは乳腺以外の癌)、死亡までの期間とした。副次評価項目には全生存期間(OS)、安全性、心毒性などが設定された。

 欧米やアジアなどから8381人が登録した。患者背景に大きな違いはないが、リンパ節転移がない患者が40%、腫瘍径が2cm以下の患者がおよそ45%を占めていた。

 フォローアップ期間中央値4.5年で、DFSイベントは555人と、予定していた850人に比べて少なかった。解析はラパチニブ単独群を除いて行われた。

 この結果、4年DFS率が、トラスツズマブ単独群では86%、併用療法群は88%、逐次療法群は87%で、トラスツズマブ単独群に対するハザード比は併用療法群は0.84(97.5%信頼区間:0.70-1.02)、p=0.048で、逐次療法群は0.96(同:0.80-1.15)、p=0.610だった。この試験では統計的有意差はp値が0.025以下としていることから、いずれも有意な違いはなかった。またPer Protocol集団において、トラスツズマブ単独群に対する逐次療法群の非劣性を解析した結果、ハザード比0.93(97.5%信頼区間:0.76-1.13)、p=0.044であった。

 また化学療法と抗HER2抗体薬の逐次投与(デザイン1)では、トラスツズマブ単独群に対し、併用療法群でやや良好であったが(ハザード比0.80、95%信頼区間:0.65-0.98、p=0.034)、逐次療法群では有意な違いはなかった。また同時併用(デザイン2/2B)では、併用療法群と逐次療法群で有意な違いはなかった。

 4年生存率は、トラスツズマブ単独群が94%、併用療法群は95%、逐次療法群も95%で、トラスツズマブ単独群に対するハザード比は併用療法群は0.80(95%信頼区間:0.62-1.03)、p=0.078で、逐次療法群は0.91(同:0.71-1.16)、p=0.433だった。

 有害事象はトラスツズマブ単独群で少なかった。下痢の頻度がトラスツズマブ単独群では20%だが、併用療法群は75%、逐次療法群は50%、皮疹・紅斑はトラスツズマブ単独群が20%、併用療法群は55%、逐次療法群は49%、肝胆道系障害がそれぞれ16%、23%、24%だった。

 心毒性の発生頻度はすべての群で低かったが、トラスツズマブ単独群が4.5%、併用療法群は3.7%、逐次療法群は2.4%だった。

 なお、同試験における薬剤の投与量は以下のとおり。デザイン1で、トラスツズマブ単独群ではトラスツズマブを初回用量8mg/kg、それ以降は6mg/kgを3週おきに52週間投与した。ラパチニブ単独群では、ラパチニブ1500mg/dを連日、52週間投与した。逐次療法群では、トラスツズマブは初回用量4mg/kg、それ以降は2mg/kgを週1回、12週間投与し、6週間休薬した後、ラパチニブ1500mg/dを34週間投与した。併用療法群では、トラスツズマブは初回用量8mg/kg、それ以降は6mg/kgを3週おきに投与し、同時にラパチニブ1000mg/dを連日、52週間投与した。

 デザイン2では、パクリタキセル80mg/m2を週1回もしくはドセタキセル75-100mg/m2を3週に1回投与した。トラスツズマブ単独群では、トラスツズマブは、化学療法との併用時には初回4mg/kg、それ以降は2mg/kgを週1回投与し、12週以降は6mg/kgを3週おきに投与した。ラパチニブ単独群では、併用時はラパチニブ750mg/dを、それ以降は1500mg/dを連日投与した。逐次療法群では、デザイン1と同様に、トラスツズマブは初回用量4mg/kg、それ以降は2mg/kgを週1回、12週間投与した。併用療法群では、化学療法との併用時にはトラスツズマブは初回用量4mg/kg、それ以降は2mg/kgを週1回投与して、ラパチニブは750mg/dを連日投与し、12週以降はトラスツズマブ6mg/kgを3週おきに、ラパチニブ1000mg/dを連日投与した。

 デザイン2Bでは、ドセタキセル75mg/m2を3週に1回投与し、カルボプラチンAUC6を18週間、抗HER2抗体薬と併用投与した。トラスツズマブとラパチニブの投与方法はデザイン2と同じだった。

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