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2014/6/2

進行卵巣癌に対する化学療法先行治療は手術先行治療よりも侵襲性が低い【ASCO2014】

森下紀代美=医学ライター

 III期/IV期卵巣癌、卵管癌、腹膜癌に対し、現在の標準治療である、手術(primary debulking surgery:PDS)後に化学療法を行う群と比べて、術前化学療法(NAC)を行ってから手術(interval debulking surgery:IDS)を行う群の治療の侵襲性は低いことが、フェーズ3のJCOG0602試験から示された。5月30日から6月3日まで米国シカゴで開催されている第50回米国臨床腫瘍学会(ASCO2014)で、北里大学医学部婦人科の恩田貴志氏が日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)を代表して発表した。

 進行卵巣癌患者を対象としたEORTC55971試験、CHORUS試験では、手術を先行する標準治療に対し、NACの生存における非劣性が検証された。しかし、NACの侵襲性は十分解析されておらず、生存における非劣性に加え、侵襲性の低さも証明する必要がある。

 そのため恩田氏らは、進行卵巣癌患者を対象として、手術を先行する標準治療とNACを比較するJCOG0602試験を実施した。同試験は現在も進行中で、全生存期間(OS)に関する解析は2017年に行われる予定である。今回は、安全性についての結果が報告された。

 対象は、CT、MRI、細胞診所見に基づき、III期/IV期の卵巣癌、卵管癌、腹膜癌と診断された患者で、CA125>200 U/mLかつCEA<20ng/mL、当該疾患に対する手術の既往がなく、他の癌腫に対する治療も含めて化学療法や放射線療法の既往がないこと、ECOG PS 0-3などの条件を満たす患者だった。

 標準治療を行う群(標準治療群)またはNACを行う群(NAC群)に、対象をランダムに割り付けた。標準治療群では、PDSを行った後、21日を1サイクルとして計8サイクルのTC療法(パクリタキセル:175mg/m2を1日目、カルボプラチン:AUC6.0を1日目に投与)を行うこととし、PDSの結果により、4サイクルのTC療法の後でIDSを行うことを可とした。NAC群では、IDSの前後に4サイクルずつ、計8サイクルのTC療法を行うこととした。同試験の主要評価項目はOS、副次的評価項目は完全腫瘍消失割合(%cCR)、無増悪生存期間(PFS)、手術侵襲指標(開腹手術回数、総開腹手術時間、出血量、総輸血量、総血漿製剤使用量)、有害事象などだった。

 2006年11月17日から2011年10月7日までに301人が登録され、標準治療群149人、NAC群152人となった。標準治療群でPDSが行われたのは147人、このうちPDSの後でIDSが行われたのは48人だった。NAC群でIDSが行われたのは131人だった。治療を完了したのは、標準治療群99人、NAC群104人となった。

 患者背景は両群でバランスがとれていた。標準治療群とNAC群において、年齢中央値はそれぞれ59歳と60.5歳、IV期の患者は31.5%と30.3%、PS 2-3の患者は12.8%と13.8%だった。化学療法のサイクル数中央値は両群ともに8となった。

 手術侵襲指標を比較すると、標準治療群はNAC群と比べて、総開腹手術回数が多く、総開腹手術時間が長かった(いずれもp<0.001)。ただし、標準治療群のPDSと比べて、NAC群のIDSはリンパ節郭清などの手技に時間を要し、手術時間が延長した(p<0.001)。NAC群は標準治療群と比べて、骨盤リンパ節郭清(PLA)、傍大動脈リンパ節郭清(PALA)が多く行われたが(いずれもp<0.001)、腹腔内臓器の切除は少なく(p=0.012)、遠隔転移も少なかった(p=0.027)。

 手術転帰を比較すると、残存腫瘍径が1cm未満のoptimal surgeryが行われた患者の割合は、標準治療群62%(91人)、NAC群72%(108人)となった。

 またNAC群は標準治療群と比べて、出血量+腹水損失量の中央値が少なく(p<0.001)、アルブミン製剤、赤血球濃厚液、新鮮凍結血漿などの使用も少なかった。

 術中の損傷は両群ともに少なく、術後の有害事象(発熱、イレウス、臨床検査値の異常など)はNAC群で少なかった。化学療法の5-8サイクル目には、標準治療群では低ナトリウム血症と疲労感、NAC群では食欲不振が多く観察された。

 恩田氏は「化学療法を先行する治療は、2017年に行われる有効性解析で生存における非劣性が確認されれば、進行卵巣癌に対する新たな標準治療となる。NACを受ける患者について信頼性の高い病期分類システムの確立が必要となる」と述べた。

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