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2014/5/8

ASCOがHER2陽性進行乳癌に対する2つの診療ガイドラインを発表

八倉巻尚子=医学ライター

 米国臨床腫瘍学会(ASCO)は5月5日、HER2陽性進行乳癌に対する全身療法の診療ガイドラインと、脳転移を有するHER2陽性進行乳癌の診療ガイドラインをJournal of Clinical Oncology誌に発表した。前者はエビデンスに基づいた抗HER2治療のガイドラインであり、後者は専門家によるコンセンサスに基づいた初めての脳転移乳癌患者の診療ガイドラインである。

 HER2陽性乳癌は乳癌全体のおよそ15-20%を占める。現在、米国食品医薬品局(FDA)は、HER2陽性進行乳癌の治療において、4つの分子標的薬(ラパチニブ、トラスツズマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ エムタンシン:T-DM1)を承認している。

 この診療ガイドラインの作成にあたり、ASCO専門委員会(Expert Panel)は、CLEOPATRA試験やEMILIA試験など、抗HER2治療のランダム化第3相試験についてシステマティック・レビューを行った。

 その結果、鬱血性心不全あるいは左室機能低下が見られる患者を除き、HER2陽性進行乳癌患者には抗HER2治療が推薦されることが確認された。1次治療にはトラスツズマブ、ペルツズマブ、タキサン系抗癌剤が、2次治療にはT-DM1が推奨される。3次治療は、1次治療と2次治療で使われていない抗HER2治療の併用療法、あるいはT-DM1治療歴のない患者ではT-DM1を、ペルツズマブ治療歴のない患者ではペルツズマブを用いた治療を行うことができるとした。

 また抗HER2治療と化学療法の併用において、毒性や進行が認められない場合、化学療法はおよそ4-6カ月まで、あるいは最大効果が得られるまでの投与が適切であるとした。一方、抗HER2治療は進行または許容できない毒性の発現まで投与継続できるとしている。

 HER2陽性でエストロゲン受容体陽性/プロゲステロン受容体陽性の乳癌患者に対しては、抗HER2治療と化学療法の併用、あるいは一部の患者ではホルモン療法と抗HER2治療(トラスツズマブ、ラパチニブ)の併用、あるいはホルモン療法単独も考慮されるとした。

 脳転移は、HER2陽性乳癌患者の30-40%に認められるが、エビデンスは十分でなく、脳転移に特化して承認された全身療法はない。脳転移を有するHER2陽性乳癌患者に対する今回のガイドラインは、神経外科医や放射線療法のオンコロジストなど、多分野の専門家の意見に基づいている。

 主なポイントとして、予後良好な患者には、転移巣のサイズや転移数、切除の可能性、症状によって、手術および/または放射線療法が推奨されている。予後不良な患者には、手術、全脳照射、あるいはラパチニブとカペシタビンなど、脳転移に対する効果が報告されている全身療法が選択肢となる。さらに支持療法(BSC)、臨床試験への参加、あるいは緩和治療も選択肢に含まれる。

 「脳転移は神経機能を損なうが、治療により神経機能は維持され、生活の質の低下を最小にする」と、ASCO Expert Panel共同議長のSharon Giordano氏は述べている。「しかし脳転移に対する一部の治療には、認識機能に悪影響を及ぼす副作用がある。我々は、このガイドラインによって、それらの患者の治療が標準化し、毒性と利益のバランスがとれることを期待している」とした。

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