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2014/5/2

転移・再発性腎盂・尿管癌に対する救済化学療法、年齢は独立した予後規定因子にならず【泌尿器科学会2014】

森下紀代美=医学ライター

 高齢の転移・再発性腎盂・尿管癌患者に対する救済化学療法の治療効果について、レトロスペクティブな検討が行われ、高齢者では救済化学療法が施行されない傾向を認めたが、施行された場合、年齢は独立した予後規定因子ではないことが示された。4月24日から27日まで神戸市で開催された第102回日本泌尿器科学会総会で、慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室の菊地栄次氏が発表した。

 腎盂・尿管癌は比較的高齢者に発症する。根治治療である腎尿管全摘除術施行後も約25%に局所再発・遠隔転移が発生し、その場合の治療法は救済化学療法となる。しかし、術後は単腎となり腎機能障害を認めること、加齢に伴うPSの低下、併存する合併症の増加などから、高齢の腎盂・尿管癌患者の転移・再発時に救済化学療法をどのように施行すべきか、統一した見解は存在しない。

 菊地氏らは、慶應義塾大学病院と関連10施設において、転移・再発を認め、救済化学療法を施行した腎盂・尿管癌患者を対象として、年齢と予後との関連を検討した。

 11施設で1995年から2010年までに腎尿管全摘除術が施行され、術後膀胱外再発・遠隔転移を認めた患者は226人で、このうち145人に救済化学療法が施行されていた。転移・再発時の年齢を75歳以上、75歳未満の2群に分け、救済化学療法が生存率に与えた影響を検討した。

 全226人中、75歳未満は145人、75歳以上は81人だった。75歳未満と比べて、75歳以上では有意にPS 2-4の患者が多く(17.9% vs 85.2%)、骨転移が多く(10.3% vs 22.2%)、術後補助化学療法を施行した患者が少なかった(42.1% vs 14.8%)。癌特異的生存率は75歳未満で有意に良好だった(p<0.001)。

 救済化学療法を施行したのは、75歳未満の145人中107人(74%)、75歳以上の81人中38人(47%)で、高齢者で有意に少なかった(p<0.001)。救済化学療法を施行した145人では、75歳未満は74%、75歳以上は26%だった。75歳未満と比べて、75歳以上では有意にPS 2-4の患者が多く(11% vs 84%)、骨転移が多く(11% vs 26%)、術後補助化学療法を施行した患者が少なかった(47% vs 13%)。

 救済化学療法のレジメンは、75歳未満と75歳以上で有意差を認めた(p=0.019)。75歳未満ではMVAC療法(メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、シスプラチン)が施行される頻度が高く、full doseは34.6%、dose reductionは20.6%に投与された。75歳以上ではGC療法(ゲムシタビン、シスプラチン)のdose reductionが36.8%と頻度が高く、ゲムシタビン+パクリタキセル併用療法が13.2%に施行されていた。

 菊地氏は「75歳未満では術後補助化学療法でGC療法が施行されている割合が多く、従って救済化学療法の際にMVAC療法が選択される傾向にある。また75歳以上では腎機能障害を有する患者が多く、シスプラチンベースの化学療法を施行する割合が低い。GC療法を選択してもdose reductionとしたり、ゲムシタビンとパクリタキセルの併用療法を選択する傾向がある」とした。

 救済化学療法を施行した患者の癌特異的生存率は、75歳以上では75歳未満と比べて有意に低かったが(p<0.001)、75歳以上に限ってみると、救済化学療法を施行した患者の癌特異的生存率は施行しなかった患者と比べて有意に改善していた(p=0.001)。

 Cox生存単変量解析では、年齢(75歳以上 vs 75歳未満)、PS(2-4 vs 0-1)、肝転移の有無、再発個数(2個以上 vs 孤立性)、救済化学療法施行の有無、手術標本におけるリンパ節転移の有無が、癌特異的生存と有意に関連した。

 多変量解析では、PS(ハザード比1.61[95%信頼区間:1.16-2.24]、p=0.004)、肝転移の有無(ハザード比2.31[95%信頼区間:1.51-3.54]、p<0.001)、再発個数(ハザード比1.54[95%信頼区間:1.07-2.23]、p=0.021)、救済化学療法の施行の有無(ハザード比0.36[95%信頼区間:0.25-0.50]、p<0.001)、手術標本におけるリンパ節転移の有無(ハザード比1.64[95%信頼区間:1.12-2.41]、p=0.011)が独立した予後規定因子となった。しかし、高齢については有意な因子ではなかった。

 今回の検討から、菊地氏は「高齢者においても、PS、腎機能が許せば積極的な化学療法により予後改善が期待できると考えられた」と述べた。

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