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2014/5/2

分子標的薬により転移性乳頭状腎細胞癌の予後は改善傾向に、腎癌研究会の中間報告【泌尿器科学会2014】

八倉巻尚子=医学ライター

 転移性乳頭状腎細胞癌に対し、分子標的薬の導入によって予後が改善されている可能性があることが、腎癌研究会が行った多施設共同研究の中間報告で示された。そして、この予後の改善に分子標的薬の逐次投与が寄与していることが示唆された。4月24日から27日まで神戸市で開催された第102回日本泌尿器科学会総会で、防衛医科大学校泌尿器科学講座の伊藤敬一氏らが発表した。

 乳頭状腎細胞癌は全腎細胞癌のおよそ15%を占め、転移を伴う症例では淡明細胞癌と比較して予後が悪いといわれている。また淡明細胞癌以外の腎細胞癌に対する標準治療は確立していない。

 この研究は「乳頭状腎細胞癌および嫌色素性腎細胞癌の有転移例に対する薬物治療の効果―多施設共同研究」として行われた。今回は乳頭状腎細胞癌について報告された。

 2000年1月から2013年12月までに、各施設で転移性乳頭状腎細胞癌と診断された38例が登録された。登録された乳頭状腎癌の内訳はタイプ1が3例、タイプ2が29例、タイプの判定なしが6例であった。このうち30例において中央病理による病理組織診断が実施された。この30例中、乳頭状腎細胞癌は24例で、タイプ1が2例、タイプ2が21例、タイプ1もしくはsolid variantが1例であった。そのほかの6例は粘液管状紡錘形細胞癌(MTSCC)が3例、Xp11.2転座が1例、分類不能型が2例であった。なお中央病理で確定した30例のうち、およそ半数は各施設の標本で診断が確定したが、半数は免疫染色を追加して診断が確定したという。

 中央病理で乳頭状腎細胞癌と診断された24例は、男性22例、女性2例で、年齢は平均57.5歳、腫瘍径は8.2cm、肉腫様変化が7例に認められた。ECOG PSはPS 0が12例と半数を占め、MSKCCリスク分類では、poorリスクが11例、intermediateリスクが8例、favorableリスクが2例、3例が確定せず、であった。

 何らかの分子標的薬が投与された患者は15例で、うち11例ではSD以上の効果が認められた。転移出現後の生存期間が2年以上の患者は7例だった。一方、分子標的薬が投与されなかった9例では、生存期間が20カ月を超えた患者は2例のみであった。

 乳頭状腎細胞癌患者の全生存期間(OS)中央値は14.9カ月、1年生存率は66%、2年生存率は46.9%、3年生存率は39.1%であった。また分子標的薬の投与群15例のOS中央値は36.5カ月で、非投与群に比べて有意に長かった。

 投与された分子標的薬の薬剤別にみると、スニチニブ投与の12例ではSDの患者が7例(58.3%)で、特にファーストラインとセカンドラインセッティングでSDを認める確率が高かったことから、「ファーストライン、セカンドラインで効果が期待できる」とされた。ソラフェニブでは6例中、セカンドライン以降の3例にSDが認められ、そのうち2例で長いSDが認められた。テムシロリムスでは全3例に、エベロリムスでは4例中1例にSDが認められた。

 これらの結果から、「分子標的薬の時代となり、転移性乳頭状腎細胞癌の予後は改善された可能性がある」とした。また治療の選択肢として、スニチニブはファーストラインまたはセカンドラインで、ソラフェニブはセカンドライン以降で、テムシロリムスは全身状態などを考慮して逐次治療のどこか良いタイミングで使用できればいいのではないかとした。

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