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2014/5/1

終末期泌尿器癌患者の在宅での看取りで尿路トラブルが問題となることは少ない【泌尿器科学会2014】

森下紀代美=医学ライター

 終末期泌尿器癌患者を在宅で看取るための問題点を検討したところ、在宅での看取りを妨げている主な理由は、介護者の人数不足と高齢化、長期の治療による患者と家族の疲弊、介護サービスやレスパイト入院の普及不足であり、尿路トラブルが問題となることは少ないと考えられることが示された。4月24日から27日まで神戸市で開催された第102回日本泌尿器科学会総会で、南里泌尿器科医院の南里正之氏が発表した。

 高齢化社会に伴う癌患者の増加により、終末期癌患者に対する治療は「施設」から「地域」へ、「医療」から「介護」へと推進されてきている。

 南里氏らは、泌尿器科有床診療所である同院で看取りを行った終末期泌尿器癌症例を振り返り、在宅での看取りを行うことができなかった症例について、問題点を検討した。

 対象は、2008年12月から2014年3月までに同院で看取りを行った40人で、入院で看取りを行った患者は34人(85%)、在宅で看取りを行った患者は6人(15%)だった。診断時に遠隔転移を有した患者は65%だった。死亡時の平均年齢は77歳(範囲:56-93)、男性は39人だった。疾患の内訳は、前立腺癌が30人で全体の3/4を占め、次いで膀胱癌6人、腎癌2人、尿管癌2人だった。

 介護ができる同居者人数が1人だった患者は25人、いなかった患者は5人で、介護者が1人以下だった患者が全体の3/4に上った。主な介護者は高齢の妻だった。在宅で看取りを行った患者では、入院で看取りを行った患者と比べて、介護者が2人以上だった割合が多かったものの、いずれの看取りでも半数以上が介護者数1人以下だった。

 入院の理由は、全身倦怠感が23人と最も多かった。一方、膀胱タンポナーデ・腎瘻トラブル、化学療法といった泌尿器科医の処置を要したのは4人(10%)だった。入院から死亡までの日数(入院時の死亡を含む)が2週間以内だった患者は56%で、当初は在宅での看取りを考えていたが、最終的に患者や家族の疲弊などが強くなった症例だった。

 初期治療から死亡までの平均月数は、在宅で看取りを行った患者は47カ月、入院で看取りを行った患者は48カ月で差はなかった。しかし、入院から死亡までが2週間以内だった患者(19人)では、初期治療から死亡までの平均月数が63カ月と長かった。これらの症例では、長期の闘病期間により患者や家族が疲弊し、在宅での看取りができなかったと推測された。癌腫別では、前立腺癌で57カ月となり、その他の癌の20カ月前後と比べて長かった。

 介護サービスを利用したのは全体の20%のみで、80%が利用していなかった。介護サービスを利用した患者の多くは在宅での看取りが可能だったが、利用しなかった患者のほとんどは入院が必要となっていた。

 南里氏は「終末期泌尿器癌を在宅で看取るための問題点は、独居および高齢夫婦世帯の増加、長期の闘病生活に対する介護者の負担など、在宅医療に対する不安だった。一方、尿路トラブルといった泌尿器特有の処置が問題点になることは少なかった」と述べた。

 前立腺癌では、転移に対し、ホルモン療法、化学療法、ステロイド剤が有効であり、闘病期間が長期に及ぶ症例が多く、介護者の負担も強くなりがちである。南里氏は「介護サービスの早期指示や、当院のような有床診療所ではレスパイト入院を積極的に行うことで介護者の負担・不安を減らし、在宅での看取りを推進することができると考えられた」と考察した。

 同院では、現在、24時間対応体制の訪問看護ステーションなどとネットワークを構築しており、早期に要介護認定を受けて介護サービスの導入を進めるとともに、レスパイト入院を積極的に行うことも考えているという。

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