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2014/5/1

転移を有する腎細胞癌の分子標的薬逐次療法では副作用プロフィールが薬剤選択に大きく影響する可能性【泌尿器科学会2014】

森下紀代美=医学ライター

 転移を有する腎細胞癌に対する分子標的薬逐次療法の検討から、ガイドラインに沿った薬剤変更以外に、副作用プロフィールが薬剤選択に大きく影響すること、また異時性再発が全生存期間(OS)の予後因子となると考えられることが示された。4月24日から27日まで神戸市で開催された第102回日本泌尿器科学会総会で、日本大学泌尿器科学系泌尿器科学分野の山口健哉氏が発表した。

 同科では、転移を有する淡明細胞型腎細胞癌に対し、リスク分類または前治療により治療方針を定めている。第一選択薬は、未治療例では、リスク分類でgoodまたはintermediateの場合はソラフェニブ、スニチニブ、パゾパニブ、同様のリスクで肺転移のみの場合はサイトカイン、poorの場合はテムシロリムスとしている。既治療例では、前治療がサイトカインの場合はアキシチニブ、ソラフェニブ、TKIの場合はアキシチニブ、エベロリムスとしている。

 山口氏らは、同科における分子標的薬逐次療法について、薬剤変更の動向と変更理由、2剤以上の症例の全生存率、寄与因子を検討した。今回の検討では、サイトカインが先行した場合も1剤使用したとみなした。

 対象は、同院で2剤以上の分子標的薬を用いた進行性腎細胞癌患者26人(平均年齢61歳、男性18人)。MSKCCのリスク分類による初回リスク分類は、favorable が3人、intermediateが18人、poorが5人だった。

 使用薬剤数は、2剤が10人、3剤が9人、4剤が4人、5剤が3人で、52の変更点を認めた。

 各変更点の動向をみると、TKI→TKIが42%、サイトカイン→TKI(初期の症例)が23%、TKI→mTOR阻害薬が23%、mTOR阻害薬→TKIが12%だった。TKIからの変更薬剤は、TKIが62%、mTOR阻害薬が38%だった。

 薬剤変更の理由は、病勢進行が69%、有害事象の出現が31%だった。薬剤選択の理由は、ガイドラインが75%、有害事象が25%だった。

 山口氏は、有害事象が薬剤選択に影響した症例を提示した。そのうちの1例、60代後半の男性は、2008年に左背部痛が出現し整形外科を受診した。左腎に腫瘍、腰椎に骨転移を認め、下大静脈に腫瘍塞栓を認める状態で同科を受診した。MSKCCのリスク分類ではpoorと判定された。

 スニチニブ50mgを4週投与・2週休薬で開始し、ゾレドロン酸の投与と外照射(50Gy)も施行した。その結果、年単位で腫瘍の縮小が認められた。しかし、有害事象として蛋白尿が発現し、スニチニブは37.5mgの4週投与・2週休薬、25mgの4週投与・2週休薬、25mgの3週投与・3週休薬と変更した。進行を認めた2012年10月の時点で薬剤の変更を検討し、アキシチニブでも蛋白尿が発現する可能性があることから、エベロリムスを選択した。しかし、蛋白尿は増強し、浮腫も発現したため、エベロリムスを中止し、スニチニブのリチャレンジとした。転移巣の縮小効果は低かったものの、蛋白尿は軽減した。

 2剤以上を投与した症例のOSは、平均で30.4±24.9カ月だった。MSKCCのリスク分類の各因子とCRPについて多変量解析を行うと、OSの寄与因子として異時性再発が抽出された(p=0.0039)。

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