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2014/5/1

カバジタキセルの日本人去勢抵抗性前立腺患者における忍容性、安全性、有効性は海外データと類似【泌尿器科学会2014】

中西美荷=医学ライター

 タキサン系新規抗癌剤カバジタキセルは、日本人去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)患者においても、海外データと類似の忍容性、安全性、有効性を示すことが、国内21施設で行われた第1相試験TED11576から明らかになった。4月24日から4月27日まで神戸市で開催された第102回日本泌尿器科学会で、横浜市立大学大学院医学研究科泌尿器病態学の上村博司氏が発表した。

 カバジタキセルは、タキサン耐性を克服すべく、約450の誘導体から選択された植物由来の半合成タキサン系新規抗癌剤で、チューブリンを標的として細胞増殖を阻害する。前臨床では、ドセタキセルと同等の微小管安定化作用、化学療法抵抗性細胞株や腫瘍モデルにおける活性に加えて、血液脳関門を通過することが示されている。

 26カ国146施設で行われた多施設共同国際第III相試験TROPICでは、ドセタキセル治療中または治療後に進行した転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)患者において、カバジタキセル群(378例)でミトキサントロン群(377例)と比較して全生存期間(OS)が延長し(15.1カ月対12.7カ月)、死亡リスクが30%有意に低下(ハザード比0.70、95%信頼区間:0.59-0.83、p<0.0001)することが示されている。

 今回、上村氏らは、カバジタキセルの忍容性評価を主要目的として、日本人CRPC患者を対象に第I相試験TED11576を実施。副次的目的として、安全性プロファイル、薬物動態および抗腫瘍活性も検討した。

 主な適確基準は、組織学的または細胞学的に診断された前立腺癌、ホルモン不応性(外科的または内科的去勢術にもかかわらず進行または再発)、ドセタキセル既治療、20-74歳、ECOG PS 0-1、十分な臓器機能、脳転移・軟膜・骨髄病変なし―など。

 用量漸増コホートで、まずレベル1として20mg/m2を投与し、用量制限毒性(DLT)が3例中0または6例中1例以下の場合、レベル2の25mg/m2投与へと進み、同様にDLTが3例中0または6例中1例以下であれば、拡大コホート40例での評価に進むこととした。DLTの定義は、好中球数減少のグレード4(<500/μL)が7日を超える、血小板数減少がグレード4(<25000/μL)、発熱性好中球減少症のグレード4、非血液学的毒性のグレード3または4という事象について、同一のものが発現したことが原因でサイクル2の2週間を超える遅延がみられた場合、DLTとした。またDLT発現が6例中2例未満の最高用量を最大耐用量(MTD)と定義した。なお、2サイクル以降はG-CSFの投与を認めた。

 48例が登録され、年齢中央値は67.5(50-74)歳、試験開始時のPSA中央値は154.69(2.82-7311)ng/mLで、42例(89.6%)に骨転移を認めた。ドセタキセルを含む化学療法の治療歴は1サイクルが39例(81.3%)、2サイクルが3例(6.3%)、3サイクル以上が6例(12.5%)、ドセタキセルの累積投与量の中央値は752.8(26-2680)mg/m2だった。

 用量漸増コホートのレベル1では4例が20mg/m2の投与を受け、椎骨骨折のためDLT評価対象から除外された1例を除く3例がレベル2へと進み25mg/m2を投与された。レベル2でもDLTを認めなかったことから、25mg/m2をMTDと決定し、拡大コホートでは41例が治療を受けた。サイクル1でG-CSFの予防的投与を行っていた1例を除く40例について相対的治療強度を評価。中央値は、20mg/m2(4例)が0.839(0.83-0.87)、25mg/m2(44例)が0.817(0.52-1.02)で、サイクル数中央値は20mg/m2(24例)が8(5-36)サイクル、25mg/m2(44例)が7.5(1-29)サイクルだった。

 MTDの投与による治療関連有害事象(TEAE)として、好中球数減少が全グレード、グレード3/4ともに44例(100%)、発熱性好中球減少症が全グレード、グレード3/4ともに24例(54.5%)に認められた。その他、患者の15%以上に発生したTEAE(全グレード)は、疲労54.5%、悪心52.3%、下痢50.0%、食欲不振40.9%、貧血31.8%、便秘29.5%、味覚異常27.3%、末梢感覚ニューロパチー25.0%、口腔粘膜炎22.7%、嘔吐22.7%、鼻咽頭炎20.5%、不眠症20.5%、白血球数減少18.2%。

 上村氏は、ドセタキセル療法に伴うグレード3以上の好中球数減少発現の有無にかかわらず、全例で好中球数減少を、50数%(ドセタキセル治療での発現あり例28例中16例57.1%、なし例15例中8例53.3%)で発熱性好中球減少症を認めたことが、注目される点だと指摘した。

 薬物動態(血漿中濃度-時間プロファイル)は、以前の試験で観察されたものと同等だった。有効性は、RECIST基準の測定可能病変を有する12例において、PR 2例、SD 10例で、客観的奏効率は16.7%(95%信頼区間:2.1-48.4)。PSA奏効率(PSAが50%以上低下)は29.3%(95%信頼区間:16.1-45.5)だった。

 上村氏は、「日本人患者でも25mg/m2の忍容性が確認され、安全性プロファイルや好中球減少の発現率、薬物動態も海外の試験結果と一致し、有効性も第III相試験TROPICの結果と類似であった」と総括し、日本人患者においてもカバジタキセルの有用性が期待できるとした。また、ドセタキセルと同様に長期投与した方が予後良好であるとの海外データの存在に触れ、G-CSF等を用いた血液毒性の積極的な管理によって、本剤の有効性をより引き出すことができるとの見解を示した。

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