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2014/4/30

腹部手術の既往はロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術の手術手技には影響しない可能性【泌尿器科学会2014】

森下紀代美=医学ライター

 ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(RALP)に対する腹部手術既往の影響を検討したところ、RALPの手術手技には影響しないと考えられることが示された。4月24日から27日まで神戸市で開催された第102回日本泌尿器科学会総会で、名古屋市立大学大学院医学研究科腎・泌尿器科学分野の河合憲康氏が発表した。

 RALPの適応においては、腹部手術の既往が問題となると考えられる。そのため河合氏らは、腹部手術の既往とRALP手術操作への影響を検討した。

 対象は、2011年5月から2013年9月までにRALPを施行した患者346例。腹部既往手術の定義は、虫垂炎、胃・肝・胆嚢疾患、鼠径ヘルニアとした。検討項目として、「腹部既往手術の有無」と「コンソール操作前の癒着腸管剥離操作(以下、剥離操作)の有無」の関連性、剥離操作の有無のRALP手術操作への影響(コンソール時間、手術時間、出血量など)を評価した。剥離操作は、腹腔鏡で行い、ポートを挿入した時点で終了とした。

 346例中、剥離操作を行った群は63例(19%)、行わなかった群は283例(81%)だった。剥離操作を行った群と行わなかった群において、平均年齢はそれぞれ67.0±0.8歳、66.7±4.7歳、平均摘出前立腺重量は42.3±13.7g、43.5±46.2g、平均BMIは23.3±2.8、23.3±3.5、平均PSA値は8.32±4.45ng/mL、7.76±9.34ng/mLだった。Gleasonスコア、病期の分布も両群で同様だった。

 腸管癒着症例では、腹壁への癒着を除くと、前立腺周囲の癒着などは認めなかった。剥離操作を行った群において、腹部既往手術があるのは44例、ないのは19例だった。剥離操作を要した症例の約30%は腹部既往手術がなかった。腹部既往手術がある44例の内訳は、虫垂炎41例、鼠径ヘルニア3例、胃・肝・胆嚢1例だった。

 RALPを施行した346例全体では、腹部既往手術があるのは105例で、内訳は、虫垂炎75例、鼠径ヘルニア16例、胃・肝・胆嚢疾患14例だった。このうち剥離操作が必要だったのは、虫垂炎では41例、鼠径ヘルニアでは1例、胃・肝・胆嚢疾患では2例だった。

 腹部既往手術の有無による腸管癒着剥離時間に有意差はなかった。剥離操作を行った群と行わなかった群において、手術時間はそれぞれ224.1±34.1分、220.5±4.6分、コンソール時間は162.9±33.7分、165.5±40.5分で、ともに有意差はなかった。出血量についても有意差はなかった。さらに、前立腺外進展(EPE)、切除断端における癌浸潤(RM)についても、剥離操作を行った群と行わなかった群で有意差はなかった。

 河合氏は「腸管癒着を剥離した後は、RALP手術手技は腸管癒着がない症例と同様に行うことが可能だった。虫垂炎は鼠径ヘルニアや胃・肝・胆嚢疾患と異なり、炎症性疾患であるため、腹部既往手術の中で虫垂炎の既往がある患者は腸管癒着を意識する必要があると思われた」と考察した。

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