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2014/4/28

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術を行う女性医師の増加に期待【泌尿器科学会2014】

森下紀代美=医学ライター

 日本に導入された手術支援ロボットda Vinci Surgical System(以下、da Vinci)は、2013年末に159台となり、米国に次ぐ世界第2位のda Vinci保有国となった。ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(RARP)の保険収載以降、国内におけるRARPの件数は急増している。ロボット手術は女性泌尿器科医の特性が発揮されやすい点でも期待されるが、日本の女性泌尿器科医のライセンス取得者は16名程度とまだ少ない。4月24日から27日まで神戸市で開催された第102回日本泌尿器科学会総会の「男女共同参画委員会シンポジウム 女性泌尿器外科医を支援するために」では、弘前大学大学院医学研究科泌尿器科学講座(現・財団法人鷹揚郷腎研究所弘前病院)の岡本亜希子氏が主治医として経験したRARPについて報告した。

 同院では、2011年7月よりRARPを導入し、2014年3月までに161例に施行した。岡本氏はこれまでに19例のRARPを主治医として経験しており、女性泌尿器科医の立場から、ミニマム創内視鏡下前立腺全摘除術(RRP)17例との比較も含めて報告した。

 同院のda Vinciライセンス取得泌尿器科医は8名で、ロボット支援手術症例数は、前立腺全摘除術161例、膀胱全摘除術12例、腎部分切除術5例である。手術を待つ患者は約60人、約半年待ちとなっている。

 同大のRARPトレーニングシステムでは、助手5例を経験した後、コンソール術者5例を経験する。その後は術者7名で主治医をローテートする。コンソール術者は、指導医の監督下に、腹膜切開、レチウス腔の展開、内骨盤筋膜の切開、深陰茎背静脈(DVC)の結紮まで行い、その後は精管と精嚢の剥離や尿道切断、膀胱尿道吻合、後壁補強、膀胱頸部離断について、段階的に技術を習得する。ハイリスク症例のリンパ節郭清、剥離層の同定がやや難しい神経温存は指導医が行っている。

 岡本氏は、2007年10月から2013年12月までに術者として経験した、ミニマム創RRP17例(RRP群)とRARP19例(RARP群)を比較した。2009-2011年は関連病院勤務と出産のため症例はない。患者の平均年齢は、RRP群66.6±7.1歳、RARP群64.8±6.0歳だった。ハイリスク症例は、RRP群4人、RARP群9人で、RARP群で多い傾向を認めた。これらのハイリスク症例には、ネオアジュバント療法としてLRRHアゴニストと低用量エストラムスチンを6カ月投与後、RARPを施行している。

 手術時間(中央値)は、RRP群138.4分、RARP群204.3分とRARP群でやや長かったが、出血量はそれぞれ1208.6g、75.8gとRARP群で有意に少なかった。RARP群の19例のうち、指導医の介入なくほぼ完遂可能だったのは3例だった。

 断端陽性率はRARP群で良好な結果となり、pT2ではRRP群1人(6%)、RARP群0(0%)、pT3ではそれぞれ3人(18%)、2人(13%)だった。Clavien-Dindo分類でGradeII以上だった周術期合併症は、RRP群4人(24%)、RARP群2人(13%)だった。

 考察として、岡本氏は「ミニマム創RRPでは、硬いlateral pedicleや精嚢を鉗子で剥離する操作に筋力が足りず、助手の力を借りることが多かったが、RARPでは筋力不足を感じることはなかった。また、開放手術用の鉗子類は女性術者の手には大きく、操作が困難だったが、RARPのマスターコントロールの操作は容易だった」と述べた。

 岡本氏は「da Vinciは触覚がないことが欠点とされるが、筋力や鉗子のサイズにおいて女性医師にハンディキャップがなく、操作しやすい。現在、女性泌尿器科医のライセンス取得者は少ないが、今後増加していくことが期待される」と結んだ。

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