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2014/4/8

限局性前立腺癌の再発リスクが高い男性を同定する検査を開発

大西 淳子=医学ジャーナリスト

 患者の前立腺癌の遺伝子シグネチャーと腫瘍の酸素濃度を組み合わせて、手術または放射線治療を受けた患者の中から、再発リスクが高い患者を高い精度で選出できる検査が開発された。バリデーションはこれからだが、検査開発までの詳細は、オーストリアで開催された第33回欧州放射線腫瘍学会(ESTRO)で2014年4月5日に報告された。

 カナダPrincess Margaret癌センターとToronto大学に所属するRobert Bristow氏らは、腫瘍の遺伝的な特徴(シグネチャー)と微小環境(低酸素症)を分析すると、従来の臨床予後予測因子(PSA、TMN分類、グリーソンスコア)を利用したリスク予測よりも正確に、局所治療の後に再発を経験する患者を選出できることを示した。治療開始前にこうした検査を行えば、局所治療に加えて、化学療法や放射線治療といった全身性の治療を行っておくべき患者を同定できるはずだ。現時点では臨床予後予測因子を用いて局所治療を選択し、手術または放射線治療を適切に行っても、30-50%の患者が再発を経験する。2年以内に再発を見た患者が前立腺癌で死亡するリスクは非常に高い。

 Bristow氏らは、従来の方法で再発リスクは中等度と判断された126人の患者から得た生検標本に、アレイCGH(比較ゲノムハイブリダイゼーション)を適用してDNAを分析し、全ゲノムを対象にコピー数の変化を調べた。

 患者には、腫瘍に対する正確な放射線照射を可能にする画像誘導放射線治療(IGRT)を行って、平均7.8年追跡した。個々の患者の転帰に関する情報とアレイCFGHで得られたデータを照らし合わせて、再発リスクが高い男性と低い男性の識別に役立つ遺伝子シグネチャーを同定した。シグネチャーを用いると、対象となった患者の75%を高リスクまたは低リスクに正確に分類できた。

 次に、やはり従来法で再発リスクは中等度と判定され、根治的前立腺摘除術を受けた150人の患者を対象にシグネチャーの有用性を検討した。

 研究者たちは腫瘍の微小環境にも注目し、IGRT時に患者の腫瘍の酸素濃度を測定して転帰との関係を調べたところ、酸素濃度は遺伝子シグネチャーとは無関係の、独立した再発予測因子であることが示された。低酸素の腫瘍を持つ患者の死亡リスクは高かった。低酸素が、ゲノムの安定性に関わる複数の遺伝子の発現を低下させることも明らかになった。

 そこで、遺伝子シグネチャーに腫瘍の酸素濃度に関する情報を追加して再発予測を行ったところ、シグネチャーのみの場合に比べ精度が向上していた。遺伝的な変化が少なく、低酸素状態がより軽い男性の転帰が最も良好で、再発がない状態での5年生存率は93%だった。逆に遺伝的な変化が多く、低酸素状態が深刻な腫瘍を持っていた男性の転帰は不良で、再発無しの5年生存率は49%だった。

 研究者たちは今後2-3年かけて、異なる大規模な患者集団を対象に、検査のバリデーションを行う計画だ。

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