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2014/3/4

予防的卵巣摘出術はBRCA遺伝子変異を持つ女性の死亡リスクを低下、大規模研究の結果

八倉巻尚子=医学ライター

 大規模な国際的前向き研究で、予防的な卵巣摘出術により、BRCA1またはBRCA2遺伝子変異を持つ女性が70歳までに死亡するリスクは有意に低下することが明らかになった。またBRCA1遺伝子変異を有する女性は、卵巣癌の予防のため、卵巣摘出術を35歳までに受けることで大きな利益が得られることが示唆された。この成果はJournal of Clinical Oncology誌の電子版2月24日号に掲載される。

 先行研究で、予防的卵巣摘出術は、BRCA1またはBRCA2遺伝子変異を有する女性で乳癌や卵巣癌の発症リスクを低下させることが示されている。しかし予防的手術を受けるための最適な年齢や死亡リスクに対する手術の効果について、十分な研究が行われていなかった。

 この「Hereditary Ovarian Cancer Clinical Study」では、カナダ、米国、ポーランド、ノルウェー、オーストリア、フランス、イタリアの研究者が、国際的な登録からBRCA遺伝子変異を有する女性を同定した。このうち出産歴や手術歴(予防的卵巣摘出術と乳房切除術を含む)、ホルモン療法の使用に関する質問票に全て回答したのは5787人だった。研究は1995年に開始し、2011年まで追跡調査して、予防的卵巣摘出術と卵癌巣や卵管癌、原発性腹膜癌の発症率、70歳までの死亡率との関連性を調べた。

 その結果、5787人のうち、2274人は卵巣摘出術を受けず、2123人は研究を開始したときに手術をすでに受けていた。1390人は追跡調査中に卵巣摘出術を受けた。平均5.6年(最長16年)の追跡調査で、186人の女性が卵巣癌、卵管癌または腹膜癌を発症した。

 全体として、卵巣摘出術によって卵巣癌リスクは80%低下することが示された。またBRCA1遺伝子変異を持つ女性にとって、40歳まで手術を延ばすことは卵巣癌リスクを4%上げることになると推定された。さらに手術を50歳まで延ばした場合、卵巣癌リスクは14.2%まで増加する。

 一方、この研究では、BRCA2遺伝子変異を持つ女性で、50歳より前に卵巣癌と診断されたのは1人だけだった。なおBRCA遺伝子変異がない人を含め、すべての女性における卵巣癌の生涯リスクは1.4%である。

 この研究期間中に死亡した女性は511人で、333人は乳癌による死亡、68人は卵巣癌、卵管癌または腹膜癌で死亡した。予防的卵巣摘出術は、すべての原因による死亡リスクを77%低下させた。

 筆頭著者であるカナダToronto大学のSteven Narod氏は、「今回の研究データから、35歳までの予防的卵巣摘出術はBRCA1遺伝子変異を持つ女性にとって国際基準になるべきだと思っている」と述べている。ただし「BRCA2遺伝子変異を持つ女性は、卵巣癌リスクがそれほど高くないため、40代まで手術を問題なく延ばすことができる」としている。同研究グループによる先行研究では、卵巣摘出術はBRCA1遺伝子変異を持つ女性で乳癌の発症リスクを48%減らし、乳癌死リスクを70%低下させると報告していた。

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