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2014/2/19

日本人の進行再発大腸癌における癌関連遺伝子変異の頻度や予後への影響を検討する多施設共同研究が開始

加藤勇治

 日本人の進行再発大腸癌症例におけるKRASminor、BRAF、NRAS、PIK3CAなどの遺伝子変異の割合、臨床病理学的特徴や分子生物学的特徴と、予後の関連を解析する多施設共同研究(GI screen 2013-01)がこのほど始まった。2月14日にはキックオフ会議が開催され、研究の背景などが紹介された。


 研究代表者は、国立がん研究センター東病院消化管内科医長の吉野孝之氏。そのほか、国内15施設が参加する(下写真)。

 研究の目的は、進行再発大腸癌における癌関連遺伝子変異のプロファイリングを行うこと。評価項目として、KRAS遺伝子コドン61、146、BRAF遺伝子、NRAS遺伝子、PIK3CA遺伝子の変異の割合。500例の登録を予定しており、登録期間は2014年12月末まで。追跡期間は登録終了から2年間としている。

 対象は、臨床的に大腸癌が強く疑われる、または組織学的に大腸癌と診断されている、薬物療法を行っているかもしくは計画されている進行・再発大腸癌。KRASコドン12、13の遺伝子変異検査を行った、もしくは行う予定で、遺伝子解析が可能な検体が過去に採取され保存されている、または、28日以内に組織診断あるいはKRASコドン12、13の遺伝子変異検査のため採取予定である患者となる。

 この研究に登録すると、国立がん研究センター早期・探索臨床研究センターの研究資金により癌関連遺伝子変異の検査を行うため、患者や参加施設が検査費を負担することはない。

 大腸癌に対する抗EGFR抗体を投与した場合の効果予測因子としてKRAS遺伝子(KRAS遺伝子変異)が明らかになっており、コドン12、13に変異があると抗EGFR抗体の効果が得られないことが示されている。ただし、このコドン12、13以外にもマイナーな遺伝子変異が存在すること、NRAS遺伝子に変異がある患者も存在すること、これらのマイナーな遺伝子変異があると、同様に抗EGFR抗体の効果が示されないことも明らかになってきた。

 さらに大腸癌では、KRASエクソン2野生型であるものの10%程度にBRAF遺伝子の変異がある患者が存在し、予後が不良であることが明らかになっている。悪性黒色腫で開発されているBRAF阻害薬は、単独ではBRAF遺伝子変異陽性大腸癌で高い効果は示されず、抗EGFR抗体やMEK阻害薬との併用による検討が進んでいる。

 吉野氏らは、複数の遺伝子を同時に検査可能な研究用キットであるMu-Packを用いて、先行研究として2013年の1年間で265人を対象とした遺伝子変異の評価を行った。その結果、KRASエクソン2野生型でNRAS変異のある患者は11.4%、BRAF変異がある患者が6.8%であることを明らかにしている。また、この検討で明らかになったBRAF遺伝子変異を持つ患者にBRAF阻害薬、PI3K阻害薬、セツキシマブを併用投与した結果、著効した症例を経験する一方で、多くのBRAF遺伝子変異陽性患者は治験の機会を逸していることも示された。

 この臨床研究で遺伝子変異のプロファイリングの検討を行うが、マイナーな遺伝子変異が明らかになった患者には、国内で行われている臨床試験の紹介なども行う。これにより治験へのアクセスの改善にもつながる可能性がある。

 吉野氏は、「この研究により、消化器癌スクリーニングのプラットフォームが構築できると考えている。また、稀少変異例の治験への参加促進も見込むことが出来る。さらに、この研究では、試料の二次利用についても患者から同意を得るため、今後、より詳細な検討が可能になると期待している」と語っている。

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