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2011/12/27

前立腺がんのホルモン療法は死亡リスクの増加に関連しない

清野 仁輿=エディター・ライター

 前立腺がんのホルモン療法は、転移のない前立腺がんの患者で、心血疾患による死を増やすことはなく、むしろ前立腺がんによる死亡リスクと総死亡リスクを減らすというメタ分析の結果を、米国のHarvard Medical SchoolのPaul L.Nguyen氏らがJournal of the American Medical Association誌12月7日号に報告した。

 前立腺がんの多くは男性ホルモンの影響を受けて増殖する。男性ホルモンの生産を抑えるアンドロゲン遮断療法(ADT)は、前立腺がんの主な治療法の一つだが、性腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニストというタイプのADTが、患者の心血管疾患による死を増やすかどうかが論争となっている。

 複数の研究がこの治療は心血管疾患の死亡リスクの増加に関連すると示したことから、米国食品医薬品局(FDA)は複数の学者との共同声明で安全性に対する警告を出している。

 Nguyen氏らは、ADT治療が、転移のない前立腺がんの男性で心血管疾患や前立腺がんによる死亡および総死亡に関連するかどうかを決定するために、2011年4月11日までに発表された、非転移性前立腺がんでADT治療を受けた男性と受けなかった男性を比較した無作為化比較試験を検索し系統的レビューとメタ分析を行った。

 合計4141人の患者を含む8つの無作為化研究のデータ分析から、ADTの治療の有無で、心血管疾患による死亡率に有意な差はないことが分かった。

 全体では、ADTの治療を受けた患者の心血管疾患による死亡率は11.0%(1941人中の252人が死亡)だった(95%信頼区間[CI]8.3%-14.5%)。一方、この治療を受けなかった患者の死亡率は11.2%(2200人中の255人が死亡)だった(95% CI:8.3%-15.0%)。

 追跡期間が長期か短期かで分けた分析でも同様の結果だった。3年以上追跡された長期研究では、心血管疾患による死亡率は、ADTの治療を受けた患者で11.5%(95% CI:8.1%-16.0%)、この治療を受けなかった患者で11.5%(95% CI:7.5%-17.3%)だった。6カ月未満の短期研究でも、ADTの治療を受けた患者でこの死亡率は10.5%(95% CI: 6.3%-17.0%)、この治療を受けなかった患者で10.3%(95% CI:8.2%-13.0%)だった。

 さらに、総合的な死亡リスクのデータが存在した合計4805人の患者を含む11研究を分析すると、むしろADTを受けた患者で死亡リスクが低下することが分かった。

 ADTを受けた患者は、ADTを受けなかった患者さんと比べて、前立腺がんによる死亡リスクが31%低下し(95% CI:0.56-0.84、P<0.001)、総死亡リスクが14%低下した(95% CI:0.80-0.93、P<0.001)。

 前立腺がんによる死亡率は、ADTの治療を受けた患者で13.5%(2527人中の443人が死亡)だった(95% CI:8.8%-20.3%)。これに対して、この治療を受けなかった患者(2278人中の552人が死亡)で22.1%だった(95% CI:15.1%-31.1%)。

 総死亡率は、ADTの治療を受けた患者(2527人中の1140人が死亡)で37.7%だった(95% CI:27.3%-49.4%)。対して、この治療を受けなかった患者(2278人中の1213人が死亡)で44.4%だった(95% CI:32.5%-57.0%)。

 以上の結果から Nguyen氏らは、「ADTは心血管疾患による死亡リスクを増やさないだけでなく、前立腺がんによる死亡リスクと総死亡リスクを低減する」と結んでいる。

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