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2011/9/27

アスピリン以外のNSAIDsの日常的な使用は腎細胞癌リスクを高める

大西 淳子=医学ジャーナリスト

 アスピリン以外の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の日常的な使用と腎細胞癌の間に有意な関係があることが、2件の大規模前向き研究のデータを利用した研究で示された。米Harvard大学医学部のEunyoung Cho氏らが、Archives of Internal Medicine誌2011年9月12日号に報告した。

 鎮痛薬の使用が腎細胞癌リスクを高めることを示唆したケースコントロール研究などの結果は複数報告されていたが、前向き研究で確認されたのは今回が初めて。

 腎細胞癌の罹患率は世界的に上昇している。修正可能な危険因子として喫煙、肥満、高血圧などが知られているが、鎮痛薬の使用もまた危険因子なのかどうかを明らかにするため、著者らは2件の大規模前向き研究、Nurses’ Health Study(NHS)とHealth Professionals Follow-up Study(HPFS)に登録された人々のデータを利用した。

 NHSは1990年から、HPFSは1986年から2年おきに、アスピリン、その他のNSAIDs、およびアセトアミノフェンの使用に関する情報を記録していた。著者らはそれらを抽出し、1種類の鎮痛薬を1週間に2回以上継続使用している場合を「日常的な使用者」とした。

 腎細胞癌の既知の危険因子である、BMI、喫煙、身体活動量、高血圧に関する情報も入手した。

 必要な情報がそろっており、癌の既往がない人々を追跡。7万7525人の女性(NHS登録者)を16年(110万6683人-年)追跡、4万9403人の男性(HPFS登録者)を20年(80万7017人-年)追跡した間に、腎細胞癌罹患が333例(女性153例、男性180例)認められた。

 ベースラインの鎮痛薬の使用状況とその後の腎細胞癌罹患の関係を調べるためにデータをプールし、年齢、喫煙状態、BMI、高血圧、身体活動量、果物の摂取、野菜の摂取、飲酒、女性の場合は出産経歴も加えて調整し、相対リスクを求めた。

 アスピリンの日常的な使用とアセトアミノフェンの日常的な使用は、腎細胞癌リスクと無関係だった。いずれの薬剤も日常的に使用していなかったグループを参照群として求めた多変量調整相対リスクは、アスピリン使用者が0.96(95%信頼区間0.75-1.23)、アセトアミノフェン使用者は1.32(0.96-1.84)になった。一方、アスピリン以外のNSAIDsの日常的な使用は腎細胞癌リスクを高めていた。多変量調整相対リスクは1.51(1.12-2.04)。以上の結果に性差はなかった(不均質性のP=0.60)。

 NHSでは、アスピリン以外のNSAIDsの使用頻度について、より詳細なデータが記録されていた。非使用者に比べ、1カ月に1〜4日使用する女性の腎細胞癌罹患の相対リスクは1.08(0.67-1.74)、5〜14日使用群では1.30(0.71-2.39)、それ以上使用していた女性では1.86(1.19-2.90)になった。

 アスピリン以外のNSAIDsについて、非使用者と比較した使用者の腎細胞癌罹患の絶対リスク差を求めたところ、女性が10万人-年当たり9.15、男性は10万人-年当たり10.92で、害必要数(NNH)は、女性が1万929、男性は9158になった。

 アスピリン以外のNSAIDsの日常的使用期間と腎細胞癌リスクの間には用量反応関係が認められた。多変量調整相対リスクは、使用期間が4年未満では0.81(0.59-1.11)、4年以上10年未満は1.36(0.98-1.89)、10年以上では2.92(1.71-5.01)だった(傾向性のP<0.001)。

 アスピリンとアセトアミノフェンについては、使用期間が長くなっても腎細胞癌との間の関係は有意にならなかった。アスピリンの日常的な使用を10年以上続けていた人々の相対リスクは1.13(0.73-1.74)、アセトアミノフェンは1.05(0.65-1.69)だった。

 大規模前向き研究で、アスピリン以外のNSAIDsの日常的な使用、特に長期にわたる使用は、腎細胞癌リスクを高めることが示された。著者らは、「今回の結果が別の研究によって確認されれば、鎮痛薬使用のリスクと利益のバランスを考える際に腎細胞癌リスクも考慮する必要が出てくるだろう」と述べている。

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