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2011/5/24

有症状で診断された早期前立腺がんは手術に利益あり

ただし65歳未満に限る、無作為化試験SPCG-4の結果

大西 淳子=医学ジャーナリスト

 遠隔転移は切除群81人、観察群123人に発生。15年間の累積発生率は21.7%と33.4%、群間差は11.7パーセンテージポイント(4.8-18.6)で、切除群の相対リスクは0.59(0.45-0.79、P<0.001)と、やはり有意に低かった。

 局所進行は切除群74人、観察群169人に発生。15年間の累積発生率は21.5%と49.3%で、差は27.9パーセンテージポイント(20.9-34.8)。切除群の相対リスクは0.34(0.26-0.45)だった。

 ホルモン療法を受けた患者は切除群139人、観察群では223人で、累積発生率の群間差は23.8パーセンテージポイント(16.4-31.2)だった。また、切除群の術後1年間の合併症の累積罹患率を調べたところ、最も多かったのが性的不能(58%)、2番目に多かったのは尿失禁(32%)だった。

 次にサブグループ解析を実施した。割り付け時の年齢(65歳未満かそれ以上か)は、切除の利益に有意な影響を及ぼしていた。65歳以上の男性では、切除群と観察群の累積全死因死亡率(Gray検定のP=0.89)、前立腺がん死亡率(P=0.41)、転移の発生率(P=0.14)のリスクに有意差は見られなかったが、65歳未満ではすべて差は有意になった(P<0.001、P=0.008、P<0.001)。65歳未満の男性におけるNNTは7だった。

 低リスクの患者を選出しての分析も行った。診断時のPSA値が10ng/mL未満で、グリーソンスコアが7未満、またはWHO分類でグレード1(高分化型)という低リスク者は、切除群に124人、観察群に139人いた。全死因死亡はそれぞれ42人と68人で、15年間の累積死亡率の絶対差は13.2パーセンテージポイントになった。切除群の相対リスクは0.62(0.42から0.92、P=0.02)と有意差を示した。

 低リスク群における15年間の累積前立腺がん死亡率の差は4.2パーセンテージポイントで、切除群の相対リスクは0.53(0.24から1.14、P=0.14)。遠隔転移の発生率の差は11.4パーセンテージポイント、切除群の相対リスクは0.43(0.23-0.79、P=0.008)になった。

 なお、切除群の中で、がんが被膜の外まで浸潤していた患者の死亡リスクは高かった。284人中132人(46%)に被膜外浸潤が見つかり、被膜外浸潤がなかった患者と比較した死亡の相対リスクを求めたところ、6.92(2.6-18.4)になった。切除時に皮膜外浸潤が見られる男性については、術後に局所療法または全身療法を行うと転帰が改善する可能性が考えられた。

 症状の発現をきっかけに診断された患者を中心とする早期前立腺がん患者集団を対象とした今回の試験の結果は、それらの患者に対する根治的前立腺切除術の生存利益を示した。

 原題は「Radical Prostatectomy versus Watchful Waiting in Early Prostate Cancer」、概要は、NEJM誌のWebサイトで閲覧できる。

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