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2011/2/4

GEが造影剤を使った新たな乳癌診断技術を開発

マンモグラフィーで高密度乳房の病変検出が可能に

井田 恭子=日経メディカル

 乳腺密度の高い乳房の病変検出には不向き─。こんなマンモグラフィーの定説を覆す新撮影技術「SenoBright(セノブライト)」をGEヘルスケアが開発し、2月3日に発表した。日本人女性に多いとされる乳腺密度の高い乳房であっても病変の鮮明な描出が可能で、乳癌の早期診断や適切な治療選択に威力を発揮しそうだ。

 マンモグラフィー検査では、乳癌に特徴的な所見として、トゲ状の突起(spicula)を伴う腫瘤や微細な石灰化、ゆがみやひきつれ(構築の乱れ)などが見られる(下の写真)。だが、脂肪が少なく乳腺組織が豊富な「高密度乳房」の場合、同検査を行っても、病変部が乳腺に重なってしまい描出されにくい(写真A、D)。

従来のマンモグラフィーと「SenoBright」搭載装置の撮影画像の比較(写真提供:水谷三浩氏)
乳腺密度の高い乳房の症例。従来のマンモグラフィーでは病変部が乳腺に重なってしまい描出されにくかったが、「SenoBright」搭載装置を使うと鮮明に写し出せる(写真B、Cの矢印)

 今回GEが開発した「SenoBright」(造影マンモグラフィー)では、マンモグラフィー撮影前にヨード造影剤を静注し、高低2種類の電圧で画像を撮影する。画像をソフトウェアで再構成すると、乳房病変部の新生血管が造影剤の濃染によって鮮明に描出される(写真B、C)。撮影時間は約5分と通常検査とほぼ同じ。被爆線量は通常撮影の約2割増しだが、国際的ガイドラインである「米国放射線専門医会」の推奨線量を下回るという。

昭和大乳腺外科教授の中村清吾氏は、「造影マンモグラフィーは、若年で発症しやすい遺伝性乳癌の検診の有力な手段となり得るだろう」と話す。

組織診の必要性の判断にも有効
 昭和大乳腺外科教授の中村清吾氏は、「造影マンモグラフィーは、若年で発症しやすい遺伝性乳癌の検診の有力な手段となり得るだろう」と話す。

 現在、乳腺密度の高い30〜40歳代の乳癌検診は、マンモグラフィー検査に超音波検査を併用している。造影マンモグラフィーは病変をクリアに描出できるとはいえ、造影剤を用いるため、一般的な検診で用いられることはなさそうだ。では、臨床現場では、どのような使われ方が想定されるのか。

 第一が、乳癌のハイリスク者向けの検診での活用だ。欧米の統計によると、全乳癌患者のうち5〜10%は遺伝性乳癌の可能性がある。わが国ではハイリスク者の拾い上げ自体がこれからだが、米国では、遺伝性乳癌のハイリスク者にはMRIによる検診が推奨されている。ただし、MRIに関しては、検査費用や検査時間がかかる上、機器の設置施設が限られ予約が取りにくいといった難点がある。

「良性・悪性の『鑑別診断』や、病変の『広がり診断』への造影マンモグラフィーの応用にも、期待がかかる」と話す、三河乳がんクリニック院長の水谷三浩氏。

 さらに、「乳腺組織の異常の有無だけでなく、良性・悪性の『鑑別診断』や、病変の『広がり診断』への応用にも期待がかかる」と話すのは、三河乳がんクリニック(愛知県安城市)院長の水谷三浩氏だ。

 例えば、「構築の乱れ」は従来のマンモグラフィーでも鮮明に写るが、良性・悪性の識別は困難で、超音波検査でも判定しにくいのが現状。「無症状の人がマンモグラフィー検診を受けるようになり、『構築の乱れ』の所見が多く見つかるようになったが、『悪性疑い』とした後、精密検査をすべきか否かといった点は明確になっていない」(水谷氏)。

 しかし、造影マンモグラフィーを行えば、良性腫瘍の場合、「構築の乱れ」は見られても、造影剤は染まらないか、淡く染まる。そのため、侵襲性の強い組織診を行わず様子を見るといった判断もしやすくなるわけだ。

 また、造影マンモグラフィーを行うと、病変の進展範囲をより的確に把握できるため、手術対象例に対して乳房温存術の適応や切除範囲を決定する際の参考になる。ほかにも、術前化学療法で病変を縮小させてから乳房温存術を行う場合などに、化学療法の効果をモニタリングするのに造影マンモグラフィーが有用な可能性がある。

 水谷氏、中村氏らは、2010年12月に「造影マンモグラフィー研究会」を発足。今後、MRIとの精度の比較など、造影マンモグラフィー検査の有効性や安全性、臨床応用の可能性を検討する予定だ。

 「SenoBright」は、「Senographe Essential」など、GEヘルスケア製デジタルマンモグラフィの一部機種にオプションとして搭載が可能。価格は3000万円(税込み)。現在、搭載可能機種は国内で約160台稼働しており、GEヘルスケア・ジャパン(株)(東京都日野市)は、初年度で20台の「SenoBright」の販売を見込んでいる。

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