もっと知る腎がん

中山恒明賞を受賞した九州大学泌尿器科学分野教授 内藤誠二氏に聞く

集学的な治療により腎がん患者さんの予後は改善しています 次は非淡明細胞癌の予後改善を進めたい

 さらに、現在、数多くの分子標的薬が使用可能になりましたが、こうした新しい治療法について、より安全に、また効果を最大限に享受できるよう、適切な使い方について、多くの泌尿器科専門医が積極的な議論を続けています。昔は、例えば肝臓に転移があると、残念ながら予後が非常に悪かったのですが、分子標的薬によって転移巣の縮小が認められるなど、予後が延長している患者さんが増えてきていると実感しています。分子標的薬が全盛の今、転移があっても原発巣を摘除すると予後が改善するということが同様に言えるかどうか、世界中で評価されていますが、これまでと同様に有効ではないかと期待しています。

 こうした取り組みの結果、腎がんのうち、淡明細胞癌(Clear cell carcinoma)という組織型の患者さんにおいては、昔と比べるとかなり予後の改善が進んできました。

 一方、今後は、腎がんの中でも非淡明細胞癌(non-clear cell)、これは乳頭状腎癌や肉腫様腎癌などのことを指しますが、こうした淡明細胞癌以外の組織型を持つ腎がんの予後の改善は残念ながらまだ十分ではなく、今後、研究を重ね、改善していく必要があります。今ある分子標的薬のうち、チロシンキナーゼ阻害薬は非淡明細胞癌に対してある程度の効果を示すこともありますが、今後、さらに高い効果が期待できる治療法を開発していく必要があるでしょう。

 また、個別化治療をもっと進めていくべきだと考えています。我々のグループは、サイトカイン療法の1つであるインターフェロン-αを使った治療について、より効果が得られる患者さんを絞り込むためのバイオマーカーの同定に成功した経験があります。現在使用可能な分子標的薬、そして今後登場してくる新しい治療法について、より高い効果が期待できる患者さんはどんな特徴があるのか、あるいは副作用が出やすい患者さんは何か特徴があるのか、など、適切な患者さんに適切な治療を選択できるよう、これからも研究に取り組んでいきたいと思っています。