もっと知る腎がん

中山恒明賞を受賞した九州大学泌尿器科学分野教授 内藤誠二氏に聞く

集学的な治療により腎がん患者さんの予後は改善しています 次は非淡明細胞癌の予後改善を進めたい

 がんの治療・診断・予防の分野において、みるべき成果をあげた研究または先駆となるべき研究を表彰し、また支援することを目的として、がんの臨床にみるべき貢献を修めた優れた研究者を賞する一般社団法人日本癌治療学会 中山恒明賞を、本サイトの総監修者である九州大学泌尿器科学分野教授の内藤誠二氏が受賞した。今年8月末、横浜市で開催された第52回日本癌治療学会学術集会で顕彰された。


 長らく泌尿器癌の研究と診療に携わってきた内藤氏に、腎がん診療や研究のこれまでと今後について語っていただいた。


 腎がんの特徴の1つに、転移がある方でも原発巣を摘除すると、発熱が治まったり、倦怠感が解消したり、食事をとれるようになったり、と身体状態が改善することがあります。原発巣があると、疼痛があったり、血尿が認められたりするなどの症状が強くなってしまいますが、切除することでこうした症状を改善できる可能性があります。

 骨転移がある患者さんでも、腎摘除術を行い、骨転移巣に対しても放射線治療を行うなど、集学的治療を行うことで、その後長く生きられた方を数多く経験してきました。また、原発巣を切除すると薬物療法の効きも良くなるというような経験もあります。

 通常、多くのがんでは、転移があると残念ながら外科手術を行うことが少ないと思いますが、腎がんにおいては可能な限り原発巣を摘除するというのが原則です。昔は、腎がんには有効な抗がん剤がなく、もっぱらインターフェロン-αやインターロイキン-2によるサイトカイン療法が行われていましたが、効果が認められる患者さんは残念ながらそれほど多くはありませんでした。しかし、多くの先達を含め、我々泌尿器科専門医は、何とか症状を改善したい、あるいは生命予後を改善したいと、懸命に治療をしてきました。

 今では、転移があっても、可能な限り原発巣を切除することの有効性がエビデンスとして示されていますし、さらに転移巣についても可能な限り切除すると予後の改善が期待できるという結果も示されました。