もっと知る腎がん

手術が難しい場合でも術前の全身療法により手術への道が拓かれるかもしれません

どんな患者でも術前療法を行うわけではありません

 ただし、これから手術を予定している全ての患者さんに術前療法をした方がよい、という訳ではありません。

 術前療法を行うということは、当然ながら手術のタイミングが遅れます。術前療法が有効であればいいですが、効果が得られなかった場合、タイミングが遅れることでがんが進行してしまい、手術が難しくなってしまう可能性があります。また、分子標的薬を術前に投与している場合、手術中あるいは術後に悪影響が出ないように、体内から薬剤の有効成分がなくなるまで待つ必要があります。

 そのため、こうしたデメリットを加味した上で、それでも術前療法を行うとよいだろうと考えられる患者さんを選んで実施すべきものであるということを知っておいて欲しいと思います。

 最近では、効果が高くて、血中半減期が短い分子標的薬も登場してきました。効果が高いということは、がんが縮小する可能性が高いということなので、術前療法に向いた薬剤です。また、血中半減期が短いということは、投薬をやめると体内からすぐになくなる性質があるということです。手術前に投薬していて、手術をしようというときに、体内からすぐになくなるので、すぐに手術を行うことができますし、術中、術後の薬剤に起因する合併症のリスクが低いのです。

 このように、より新しい薬剤が登場してきたことで、術前療法に対する期待が高まってきています。今後、どんな患者さんに適しているのか、更なる議論が必要ではありますが、これまでならば手術ができないと判断された方、あるいは高齢やがんによって体力が落ちてしまった方でも手術ができる可能性が出てきているのです。