もっと知る腎がん

さまざまな検査を行って患者さんの腎がんの状態を正確に把握して治療に臨みます

2.腎癌の拡がりをみる検査


Q. 腎がんの状態を評価する検査を詳しく教えてください。

A. 腎がんの状態を評価する検査として良く行われるのは、主にCT検査で、その他にMRI検査、骨シンチグラフィー、PET検査があります。

 ほとんどの患者さんで行われるのはCT検査です。CTは、X線を照射する部分と検出する部分が輪になっていて、回転することにより身体の“輪切り”のレントゲン情報が画像として得られます。患者さんが寝ているところが前後することによって、例えば胸からお腹までの連続した撮影像が得られます。

 CTにより、腎臓のどこの部分にどれくらいの大きさのがんが存在するのかを評価します。腎臓周囲や腹部のリンパ節に転移がないかどうかを評価するほか、肺や肝臓など他の臓器に転移していないかどうかについても評価します。

 また、MRIも撮影されます。MRIは磁気を使って体内を撮影するもので、腎がんの位置、大きさ、質がわかります。さらに、MRIの特徴の1つに血管をよく描出できることがあります。そのため、腎がんが直接、連続的に腎静脈や下大静脈へと入り込むことがあります(腫瘍塞栓)が、こうした大きな静脈への進展の程度を調べるためにMRIが用いられることがあります。

MRI装置の外観
(提供:日本医科大学木村剛氏)

 骨転移の有無を評価するには、CTやMRIとともに骨シンチグラフィーを用います。骨シンチグラフィーは、骨がよく作られているところに集まる性質を持つ薬剤(放射性同位体を含む薬剤)を注射し、その集まり具合をX線撮影するものです。骨が作られるような転移の場合は、周囲より強い集積(hot spot)として描出されます。一方、腎がんの骨転移は骨が溶けてしまう溶骨型と呼ばれる形式であることが多く、正常な部分より集積が弱く出る(cold spot)こともありますし、骨転移があるのに無いように見える(偽陰性)が出てしまう可能性もあります。そのため、CTやMRIのデータも加味して総合的に骨転移の有無を評価することが重要です。

骨シンチグラフィーを行うためのSPECT検査装置
(提供:日本医科大学木村剛氏)

 また、他の臓器に転移がないかどうかを評価する際、PET検査を行うことがあります。PET検査は、がんのように増殖が活発な細胞はエネルギー源として多くのブドウ糖を取り込むという性質を利用した検査です。放射性同位体で標識したブドウ糖を投与すると、がんのあるところにこのブドウ糖が集まります。このブドウ糖が集まっている臓器があるかどうかを評価するのがPET検査です。


Q. なぜ多くの画像検査を行うのですか。

A. こうした検査を行うことで、腎がんの拡がりを示す分類である「TNM分類」を決めるためです。

 TNM分類とは、T:原発腫瘍の状態、N:所属リンパ節の状態、M:遠隔転移の有無、を表すものです。

 Tは1から4と数字が上がるに従って腫瘍の大きさや腎臓の周りの組織への浸潤が起こっていることを示します。

 Nは所属リンパ節への転移があるかどうかを評価するもので、0:なし、1:1個の所属リンパ節転移あり、2:2個以上の所属リンパ節転移あり、と判定します。

 Mは遠隔転移の有無を示すもので、0:なし、1:あり、と判定します。

 我々泌尿器科専門医は、このTNM分類に従ってがんの状態を正確に捉え、治療方針を決めていくのです。