もっと知る腎がん

さまざまな検査を行って患者さんの腎がんの状態を正確に把握して治療に臨みます

 腎がんは早期の段階では症状がなく、血液検査などで早期の腎がんを見つけることはできない。腎がんの古典的な3主徴は、血尿、腹部のしこり、脇腹の痛みであるが、昔はこれらの症状が出てから、進行した状態で発見されることが多かった(症候がんという)。しかし、近年、健康診断や人間ドックでのエコー検査、あるいは他の病気で受けたCT検査で腎臓に腫瘤が認められ、早期の段階で腎がんが見つかるケースが増加している(偶発がんという)。このように早期の段階で見つかるケースは、腎がん患者の半数以上を占めるようになってきた。

 健康診断や人間ドックなどの超音波検査で「腎がんの疑いがある」と指摘されると、泌尿器科へ紹介となり、詳細な検査を行うことになる。ここでは、「腎がんの疑い」→「腎がんと診断するための検査」→「腎癌の拡がりをみる検査」→「手術を含めた治療を行うための検査」という順で、泌尿器科で具体的にどのような検査が行われるのか、本サイトの監修者である日本医科大学泌尿器科准教授の木村剛氏に聞いた。


日本医科大学泌尿器科准教授の木村剛氏

(1)腎がんと診断するための検査


Q. 腎臓にできる腎がん以外の良性のできものにはどのようなものがありますか?

A. 中に水が溜まっているだけの腎のう胞、良性で、若い女性にできやすく血管、筋肉、脂肪でできている腎血管筋脂肪腫、良性の腎腫瘍(乳頭腫、オンコサイトーマなど)があります。


Q. どのような検査で良性のできものと腎がんを見分けますか?

A. まず、腎のう胞は中身が水なので、超音波検査や造影剤を使ったCTで、中身に水しかないことを証明します。腎血管筋脂肪腫では、中身に脂肪があることを、超音波検査、単純CT、脂肪抑制MRIなどで証明します。腎がんにもいくつかの種類があり、最も多いのが淡明細胞がんで、70〜80%を占めます。次に多いのが乳頭状腎細胞がんで10〜15%、次が嫌色素細胞がんで約5%です。

 造影CTとは、造影剤を注射してCTを撮影する検査です。造影剤は血管の中に注射するので、血管の多い腫瘍ほどより濃く染まって見えます。淡明細胞がんは、血管が非常に豊富なので造影CTで非常に強く造影されます。次に血管が多いのが嫌色素細胞がんで、淡明細胞がんより弱く濃染されます。最も血管が少ないのが乳頭状腎細胞がんで、ほとんど造影されません。残念ながら良性腫瘍は腎がんと区別することは困難です。腫瘍が小さければ小さいほど区別は難しくなります。そのため、小さな腫瘍の場合、針をそこを刺して、組織を一部取って顕微鏡で病理組織学的に診断することもあります。

CT装置の外観
(提供:日本医科大学木村剛氏)