もっと知る腎がん

第6回市民公開講座より

腎がんと診断されたら〜よく理解し、最適な治療を選択するために〜

【第2部 質問コーナー】
司会:冨田善彦氏(山形大学泌尿器科教授)


 事前に参加者から寄せられた質問について、腎がん治療のエキスパートである3人の泌尿器科医が順番に回答した。司会は、山形大学泌尿器科教授の冨田善彦氏が務めた。

秋田大学泌尿器科講師の井上高光氏

1人目の回答者:井上高光氏(秋田大学泌尿器科講師)


●「両親が腎がんにかかり、弟が腎臓透析を行っていますが、遺伝による可能性が高いのでしょうか?」
井上氏

―腎がんの中には遺伝性腎がんであるVHL病もありますが、非常にまれな病気です。基本的には、腎がんは遺伝でないと考えてよいでしょう。

●「主人が8年間に腎がんを摘出し、半年に1回定期検診を受けています。今後再発するおそれがあるのでしょうか。」
井上氏

―8年間再発がなかったのであれば、ほぼ根治と考えていいのではないでしょうか。
しかし、まれに10年以上経過してから再発するケースもありますので、主治医が「もう定期検診を受けなくてもいい」と言ったとしても、人間ドックを受けていただくことが有効と思います。

●「腎がんの症状に痛みはありますか?」
井上氏

―腎がんでよく見られる3つの症状は「血尿」「痛み」「腫瘤が触れる」ですから痛むときもあります。ただし、最も多く見られるのは血尿です。

●「昔、腎臓の病気をしましたが、成人してから糖尿病になりました。今後、腎がんになる確率は高いのでしょうか」
井上氏

―この文面からは腎臓の病名が不明なのですが、糖尿病が進行すると腎臓の機能が低下もしくは機能しなくなり、ときに透析になってしまうことがあります。これまでの報告で、透析患者では透析をしていない人に比べて腎がんの発生頻度が高まることが知られています。ですが、糖尿病だからといって腎がんになりやすいということまでは必ずしも言えないと思います。

●「食生活ではどういった点に気を付ければよいでしょうか」
井上氏

―高脂肪や高カロリーの食事は避け、できるかぎりバランスのとれた食事を摂取してください。太らない、適正な血圧を保つ、野菜や果物などの抗酸化物質を積極的に摂ることなどを心がけましょう。そして禁煙することが重要です。

弘前大学泌尿器科准教授の古家琢也氏

2人目の回答者:古家琢也氏(弘前大学泌尿器科准教授)


●「片側の腎臓に腎がんが見つかったのですが、適切な治療は手術なのでしょうか」
古家氏

―腎がん治療の基本は手術です。腎臓に腫瘍が見つかった場合は、積極的に手術を受けたほうがよいと思います。

●「3年前に右腎臓を摘出しました。日常生活の注意事項を教えてください」
古家氏

―食生活に気をつけることと、禁煙することが重要です。
しかし、特定の野菜や果物を過剰摂取するなど、行き過ぎたことはやめましょう。適切なものを適度に摂取するという、バランスのよい食生活が大切です。

●「手術後、再発を防ぐための方法を教えてください」
古家氏

―何か薬剤などを飲むことで、再発を予防できるというデータは、現時点でありません。
大切なことは、主治医に言われたとおりの頻度で定期的に検査を受けることです。
手術を受けて、がんを切除することができたのに、術後の定期検査をずっと受けずにいたため、気がつかないうちに再発してしまい、手遅れになってしまうというケースがあります。

●「腎がん摘出手術を受けました。今後もずっと定期検査を受けないといけないのでしょうか」
古家氏

―腎がんでは、術後10年以上経ってから再発してしまった患者さんもいます。術後5年が経過していても、年に1回は検診を受けた方がよいでしょう。

冨田氏
―わたしの患者さんの中にも、術後15〜17年が経過してから残念ながら再発した方がいらっしゃいます。検診は欠かさず定期的に受けることが重要です。

●「術後、血圧が160/100mmHgになりました。腎機能検査では異常は見つからず、主治医には年齢のせいだろうといわれたので、降圧薬を服薬しています。このまま降圧薬で治療した方がよいのでしょうか」
古家氏

―血圧が上昇すると、腎臓に負担がかるため、将来的に透析に至るリスクが高まります。ですので、血圧が高いのであれば、降圧薬を適切に服薬することが重要です。

 腎がん手術で腎臓が1つ減ると、腎臓が2つあった時よりも老廃物をろ過する能力が低下します。
術後は、水分をとること、塩分の過剰摂取をしないこと、バランスのよい食事をすることなどを心がけて下さい。