もっと知る腎がん

第6回市民公開講座より

腎がんと診断されたら〜よく理解し、最適な治療を選択するために〜

東北大学泌尿器科講師の伊藤明宏氏

●腎がんとはどのように見つかりますか?
―検診で積極的に超音波検査(エコー)の受診を―
伊藤 明宏氏(東北大学泌尿器科講師)



 腎がんが見つかるきっかけとして多いのは、(1)症状があり、病院を受診して見つかる、(2)他の病気の検査で偶然に見つかる、(3)健康診断や人間ドックで見つかる――の3つだ。

 腎がん症状の種類は大きく分けて(1)腎がんによる直接の症状、(2)腎がん以外でも見られる悪性疾患による症状、(3)がんが転移した先の臓器での症状―がある。

 (1)の腎がんによる直接の症状としては、腫瘍が大きくなることで腹部にしこりや腫れが感じられる状態(腹部腫瘤)のほか、腫瘍が周囲組織に浸潤することで脇腹から腰にかけての痛み、血尿などがある。血尿は腫瘍からの出血が尿に出ることで起こるが、痛みの症状を伴わないことが多い。腎がん以外でも、膀胱炎や尿路結石、腎臓病でも血尿が見られるため、「血尿=腎がん」ではない。

 (2)の腎がん以外でも見られる悪性疾患による症状としては、体重減少、全身倦怠感、微熱の継続、貧血、食欲不振、吐き気など。(3)のがんが転移した先の臓器での症状としては、肺に転移した場合であれば咳や痰、呼吸苦、骨に転移した場合であれば体の痛み、肝臓に転移した場合であれば黄疸、脳に転移した場合であれば頭痛やけいれんなどが認められる。ただ、これらの症状は良性疾患でも見られるため、自己診断せずに、医療機関を受診して適切な診察を受けることが重要となる。

 最近では、腎がんの症状がないものの、健康診断や人間ドック、他の病気の検査を受けた際に偶然に見つかる腎がん(偶発がん)の割合が年々増加していることが特徴だ(図3)。健康診断や人間ドックのメニューにある腹部エコー(超音波検査)で腎臓もチェックされるためだ。全ての腎がん患者において偶発がんの占める割合は、1965〜1974年が2%にとどまっていいたのに対し、1985〜1994年は35%、2005年以降は77%と増加している。腎がんを見つけるには、健康診断や人間ドックなどを受けることが有効であるといえる。一方、腎がんの腫瘍マーカーは存在しないため、血液検査で見つけることはできない。

図3 腎がんの発見のされ方の移り変わり

 症状があって発見される腎がんは、すでに腫瘍径が大きいものが多く、周辺組織にがんが広がっている可能性がある。一方、偶発がんは小さいうちに発見されるため、早期がんの可能性が高い。

 腫瘍サイズが小さいものほど、転移が少ないことを示した海外データがある(表2)。たとえば、腫瘍サイズが2cm以下だった場合は、発見時に転移があった患者の割合は0%、術後3年後に転移が出現した患者の割合は0%となっている。転移発見率は腫瘍サイズが大きくなるほど増加し、腫瘍サイズが7cm以上だった場合は、発見時にすでに転移がある患者の割合は16.5%、手術から3年後に転移が出現した患者は43.7%と高くなる。

表2 腫瘍サイズ別の転移率(発見時と術後3年後)

 最後に伊藤氏は、腎がんを早期に見つけるためには、検診や人間ドックで超音波検査を積極的に受けるほか、通院中の泌尿器科や内科などで定期的に超音波検査を受診すること、さらに何らかの症状がある場合には早めに医療機関で診察を受診することが重要と指摘した(表3)。

表3 腎がんを見つけるための注意点