もっと知る腎がん

第101回日本泌尿器科学会総会を終えて

転移があっても主治医に「手術で切除できないか」と聞いてみてください

 もう1つ、腎がん関連のトピックスとしては、個別化治療があります。今、述べた転移巣切除についても、残念ながら全ての転移がある患者さんに適応できるものではありません。転移巣切除により生存期間の延長が期待できる方、期待できない方がいますので、それをより確実に見分けられる目印(マーカー)が求められるでしょう。

 また、分子標的薬治療でもマーカーが求められます。例えば、症例数は少ないのですが、転移のある腎細胞がんに対して高い効果を持つスニチニブ(商品名「スーテント」)を投与することで劇的な効果が得られ、完全奏効(CR)となる患者さんがいます。一方で、残念ながら分子標的薬を投与しても効果が見られず病勢が進行してしまう患者さんもいます。こうした違いを、治療前に予測できるようになることが必要です。

 現在、数多くの分子標的薬が利用可能ですし、今後もさらに多くの分子標的薬が使用可能になると見込まれています。どの薬剤がどんな患者さんに有効なのかを見分けるマーカーが明らかになっていくことで、腎細胞がん治療は、患者さんごとに最適の治療が選ばれ、さらに長期の生存期間が期待できるように進歩していくと思っています。