もっと知る腎がん

第101回日本泌尿器科学会総会を終えて

転移があっても主治医に「手術で切除できないか」と聞いてみてください

 日本の泌尿器科領域における最新の研究結果が発表される日本泌尿器科学会総会が、4月末に開催された。本サイトの監修者の1人である北海道大学泌尿器科准教授の篠原信雄氏に、腎がん診療や研究の最新動向について聞いた。


 今年の日本泌尿器科学会総会は、4月25日から札幌市で私どもの教室が主催しました。今年は101回目の総会で、今後泌尿器科領域の診療をさらに充実させていくために、現在どのような課題があり、今後どんな研究をしていくことが求められるのか、多くの参加者と共有し、議論できたと考えています。総会が成功裡に終わり、ほっとしているとともに参加者や関係者の皆様に御礼申し上げます。

 腎がん領域で注目され、議論が活発に行われたテーマの1つとして、私自身、アジアの泌尿器科医が集まって議論するAsian Sessionでもお話しさせていただきましたが、「腎がんの転移巣に対する外科的切除の意義」があります。

 進行性腎細胞がん治療のゴールは生存期間(Overall Survival、OS)の延長とQOL(生活の質)の改善です。そして、OSの延長やQOLの改善を得るためには、外科手術、薬物治療、放射線治療など、患者さんの状態に応じて必要な治療法を組み合わせる治療(集学的治療と言います)が必要だということは、近年のがん治療のコンセンサスになってきています。

 転移性腎細胞がんの治療としてサイトカイン療法しかなかった時代の、転移のある腎がん患者さんの生存期間は中央値でおよそ21〜22カ月でした。近年、分子標的治療薬が数多く登場し、治療の選択肢が増えてきました。最近北海道大学とその関連病院を受診した患者を対象に調査したところ、現在の生存期間はサイトカイン療法しかなかった時代に比べてさらに10カ月以上延長していることが分かりました。この生存期間の延長には、分子標的薬が数多く登場し、これらの薬剤をうまく使いこなすことができるようになったことが一因と言えるでしょう。まだ治療を継続できている患者も多いことから、この生存期間はさらに延長していくのではないかと感じています。