もっと知る腎がん

2012国際泌尿器科学会総会に参加して

腎がんの手術は進歩し続けています

腹腔鏡下手術の難しさを補うロボット手術

 しかし、最近、この“敷居の高さ”を解決する、つまり腹腔鏡下腎部分切除術の難しさをサポートするツールが登場してきました。それがロボット手術です。ロボットの名前から「ダヴィンチ手術」とも言われます。腹腔鏡下手術のように、ロボットアームを体内に挿入し、手術者はロボット本体で体内の映像を見ながらロボットアームを操作するものです。

 なぜロボットによる手術が腹腔鏡下腎部分切除術の難しさを補うことができるのか。それには3つのポイントがあります。1つは、ロボットが多関節であること、もう1つは視野が3次元映像(3D)であること、最後の1つは、手術を行う術者の習熟速度が、これまでの腹腔鏡下手術よりも早いとされていること──です。

 まず1点目、多関節であることについて解説しますと、従来型の腹腔鏡下手術では、長い棒の先にハサミや“もの”をつかむ道具が付いている手術器具(鉗子)を操作してがんを切除します。この鉗子はまっすぐで曲がらず、ちょうど体表面を支点として動かすため、可動範囲が限られ、細かい操作が難しいことが多いのです。しかし、ロボットは、体内に挿入する鉗子が多関節でできているため、体内でさらに折れ曲がったりして細かい操作を行うには非常に適しているのです(図参照)。

従来の鉗子を用いた腹腔鏡下手術の概要

ロボットを用いた腹腔鏡下手術の概要

 こうした特徴から、がんを切除した後、縫う手技がとても行いやすいのです。一方、腎臓を全て摘出する根治的腎切除術では細かく縫う作業がありませんので、ロボットを使うメリットはあまりありません。