もっと知る腎がん

2012国際泌尿器科学会総会に参加して

腎がんの手術は進歩し続けています

 そのため、例え腎がんであっても、できるだけ腎臓を残せないか検討が進められてきたのです。その結果、がんが小さな場合には、腎臓をすべて切除してしまうのではなく、がんだけを切除し、腎臓を生かすようになってきました。これが腎部分切除術です。

 これまでの検討で、T1a(4cm以下)の腎がんに対する腎部分切除術での再発率や5年癌特異的生存率(5年後に癌が原因で亡くなられていない方の割合)は、根治的腎切除術と同等であると報告されています。再発するリスクに差がないならば、できるだけ腎臓を残した方がよいため、初期の小さながんにおいては、腎部分切除術が注目されているのです。最近、エコーやCTなどの検査機器の性能が向上したことで、早期の段階で腎がんが見つかりやすくなったことも背景にあります。なお、腎臓を全てとってしまうと心血管疾患の発症リスクが上がるといっても、再発してしまっては意味がありませんので、再発するリスクが高い状態の腎がんの場合は腎臓を全て摘出することになります。

小さなきずで手術できる腹腔鏡下手術

 他方で、外科手術全般において、腹腔鏡下で行う手術に注目が集まるようになってきました。腹腔鏡下手術とは、お腹を小さく切開し、そこから手術器具(鉗子など)とカメラを挿入して手術するものです。従来の開腹手術と比べて、お腹の切開創(きず)が小さくて済み、術後の回復も早い低侵襲手術として、積極的に取り組まれるようになってきました。

 当然、泌尿器科領域でも注目され、腎癌や前立腺癌の摘出術で取り組まれるようになりました。腎部分切除術も腹腔鏡下で行うことができるのではないかと考えられるようになりました。

 しかし、腎部分切除には、根治的腎切除術と比べて、とても難しい点があります。それは、がんの塊を切り取った後、残った切り口を縫う必要があることです。腎臓は尿を作る臓器で血管が多く、切り口を丁寧に縫わなければそこから出血や尿が漏れてしまう可能性があるので、切り口を縫うのは非常に高度で繊細なテクニックが必要です。腎部分切除を腹腔鏡下で行うことが低侵襲であることは分かっているのですが、とても“敷居が高い”のです。