もっと知る腎がん

腎癌研究会第5回市民公開講座より

もっと腎がんのことを知って欲しい

九州大学泌尿器科教授の内藤誠二氏

 腎癌研究会が、8月5日、「腎がんと診断されたら〜よく理解し、最適な治療を選択するために〜」をテーマに名古屋市で第5回市民公開講座を開催した。500人ほどが参加した同市民公開講座をリポートする。


【開会のあいさつ 内藤誠二氏 九州大学泌尿器科教授・腎癌研究会会長】

 市民公開講座に先立ち、腎癌研究会会長の内藤誠二氏(九州大学泌尿器科教授)が腎癌研究会の活動内容について紹介した。

 腎癌研究会は設立されてから21年が経ち、現在の会員数は約670人いる。同研究会では、市民の方に腎がんについての理解を深めていただくために、今回のような市民公開講座や、小冊子の作成・配布を行うほか、治療成績向上のための多施設共同研究などを実施している。来年の第6回市民公開講座は仙台市で開催される予定となっている。


浜松医科大学泌尿器科教授の大園誠一郎氏

【第1部講演】
【総合司会:大園誠一郎氏 浜松医科大学泌尿器科教授】


 第1部は、腎がん研究会世話人の医師ら5人が、腎がんの種類から、その治療法までを解説した。総合司会は、浜松医科大学泌尿器科教授の大園誠一郎氏。












東京歯科大学市川総合病院泌尿器科教授の丸茂健氏

●腎がんとはどのような病気ですか?
―危険因子は肥満、高血圧症、乳製品の過剰摂取、肉食、喫煙など―
丸茂 健氏(東京歯科大学市川総合病院泌尿器科教授)


 腎がんの主な危険因子には、肥満、高血圧症、乳製品の過剰摂取、肉食、喫煙などがある。

 腎がんの原因の一つとしては、がん抑制遺伝子「VHL遺伝子」の異常が考えられている。VHL遺伝子は、腫瘍発生を抑制するたんぱく質を産生する役割を果たしているが、このVHL遺伝子に傷が付くと、腎がんが発生する危険が高まると言われている。

 腎臓に発生する腫瘍は3つに分けられ、(1)腎がん(血液をろ過し、尿を作る役割を果たす部位に発生する腫瘍)(2)腎盂がん(腎臓からの尿が集まる部位に発生する腫瘍)(3)良性腫瘍―がある(図1)。

●図1 腎臓に発生する主な腫瘍

 このうち、腎がんで見られる主な症状は「血尿」「痛み」「腫瘤が触れる」の3つで、このほかに全身倦怠感や体重減少、貧血や発熱などがある。

 日本の腎がん患者数は、年々増加している。高齢になるほど腎がんが発生する頻度が高まるほか、男性の腎がん発生頻度は女性よりも2〜3倍高いという報告がある。

 地域別の腎がん罹患率を見ると、最も発生頻度の低い地域は九州・沖縄地域で4.76人(10万人対)だったのに対し、北海道は8.57人(10万人対)と最も高い(表1)。

 丸茂氏は、北海道で腎がん罹患率が高い原因として、喫煙率が男女ともに全国平均よりも高いこと(男性62.8%、女性18.4%)や、ビタミンC摂取量は最も少ないこと、人口1000人あたりの高血圧症の頻度が日本で最も高いこと(男性65.6人、女性94.3人)などを挙げた上で、「こうした事実が、腎がんを予防するための手がかりになるかもしれない」と語った。

●表1 日本における地方別の腎がん患者数