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腎細胞がん治療でのスニチニブの投与量は必要に応じて適切に減らしても十分に有効です

結節性硬化症に伴う血管筋脂肪腫に対してエベロリムスが有効

 最後に、がんではありませんが、腎臓に発生する良性腫瘍に対してmTOR阻害薬のエベロリムスが著効したという臨床試験の結果が発表されたことも紹介させてください。

 結節性硬化症という、脳、腎臓、肺、皮膚などに良性腫瘍が形成される疾患があります。TSC1、TSC2という遺伝子に変異があると発症することが明らかになっており、発症頻度は7000人に1人とも言われ、まれではあるのですが、脳に腫瘍ができると上衣下巨細胞性星細胞腫SEGA)、腎臓に腫瘍ができると血管筋脂肪腫AML)、肺に腫瘍ができるとリンパ脈管筋腫LAM)と呼ばれ、それぞれ各臓器を圧迫し、神経症状や腎不全、呼吸不全を引き起こしてしまいます。

 これまで腎臓に血管筋脂肪腫ができると、腫瘍につながっている血管に詰め物をして血液が流れ込まないようにして腫瘍を小さくする治療が行われてきましたが、血流を止めるため腎不全を起こしやすく、難治性でした。

 今回のASCO-GUで、結節性硬化症に伴う血管筋脂肪腫に対し、エベロリムスの有効性を評価した臨床試験(EXIST-2試験)の結果が発表されましたが、奏効率が約42%、血管筋脂肪腫の増大を抑制できている期間が11.4カ月というものでした。これまで有効な治療法がなかっただけに、この結果に注目しています。

 また、昨年には、結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫に対するエベロリムスの有効性を確認したEXIST-1試験の結果が発表されており、こちらも有効であることが確認されました。結節性硬化症に伴う良性腫瘍の発生は特に脳、肺、腎臓で見られますが、特に肺の腫瘍が大きくなると致死的です。エベロリムスは脳や腎臓だけでなく、肺の腫瘍にも同時に効果が得られるようで、患者さんにとっても期待の薬剤です。

 このEXIST-2試験には日本人の患者さんも参加しており、これらの結果を受け、最近、日本でも承認申請がなされました。いち早く利用できる日が来ることを期待しています。