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再発・転移について

再発・転移について

 再発とは、治療によってがんを取り去った後、再びがんができることをいいます。転移がない腎細胞がんに対して根治的腎摘除術を行った場合の再発率は約3割です。再発の半数以上は、手術後2年以内に発症します。

 最も再発しやすい場所は肺で、再発の約半分以上を占めています。次にリンパ節、骨、肝臓などです。摘除した腎のあった場所(局所再発)や、副腎、脳、皮膚などに見られることもあります。

 サイトカイン療法や抗がん剤しかなかった時代では、再発が起きた患者の予後は悪く、1999年のMotzerらの報告では、再発後の3年生存率は10%以下しかありませんでした(出典:Motzer et al J. Clin Oncol 1999,17(8) 2530-2540)。しかし、分子標的薬などの最新の治療法が用いられるようになった現在では、後述しますが、その予後は改善されています。

 再発後の生存期間は、前述の予後不良因子が少ないほど長く、多いほど短くなります。さらに、再発による転移巣は、大きければ大きいほど、また、数が多くなればなるほど予後が悪くなります。従って、一言で「再発」と言っても、ひとりひとりの患者さんで予後が全く異なってくることにお気づきいただけると思います。再発後10年以上元気でいらっしゃる方もいらっしゃれば、2−3ヶ月で不幸な転帰を取られる方もいらっしゃいます。

 再発は早期発見早期治療で予後が改善されます。手術後は再発を早期に発見するために、症状がなくても定期的に検査を受けること(フォローアップ)がとても大切です。
 
 分子標的薬が登場して以降のデータとして、まだ十分に検証された結果はありません。ただし、最近になり、欧米で分子標的薬(血管内皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬:VEGFR-TKI)で治療された患者さん645人を対象にした解析が行われました。VEGFR-TKIで治療を開始してからの生存期間の中央値は22カ月、2年生存率は47%という成績が報告されています。また、リスク分類(MSKCCリスク分類)別に予後を見てみると、予後が良好と考えられるグループ(Favorableリスクグループ)の生存期間はまだ中央値に到達せず(検討が行われた段階では到達していませんでした)、2年生存率は75%、中等度と考えられるグループ(Intermediateリスクグループ)の生存期間中央値は27カ月、2年生存率は53%、予後が悪いと考えられるグループ(Poorリスクグループ)の生存期間中央値は8.8カ月、2年生存率は7%という成績でした(Heng et al. J Clin Oncol 2009;27(34):5794)。対象となったのが600人ぐらいの規模であり、追跡期間もそれほど長くないため、まだ確たるデータとは言えませんが、分子標的薬の登場により生存期間の改善が進んでいると考えられます。

 日本においても、スニチニブやソラフェニブが使用可能になった2008年以降に治療を受けた方で、MSKCCリスク分類でFavorableリスク、Intermediateリスクと診断された方を3年程度(中央値)追跡した結果がまとめられています。この検討では、最初の分子標的薬を受けてからの生存期間(中央値)は38カ月、3年生存率は51%であることが示されました(Shinohara et al. ASCO-GU2014 #532)。この成績はあくまで日本国内のいくつかの特定の施設のデータではありますが、サイトカイン療法が主だった頃と比べて予後が改善していると考えられます。

 再発が見つかった場合、分子標的薬を中心とした薬物療法ではなく、局所療法を選択する場合があります。局所療法とは、転移巣を直接外科的切除したり、γナイフという放射線や、ラジオ波にて転移巣の細胞を完全に殺したりする方法です。薬物療法では、転移巣が消失する可能性は極めて低く(完全奏効は1%未満)、一旦、小さくなった病巣でも、やがて薬剤耐性のある強いがんが再増殖し、大きくなってしまいます。局所療法でコントロールできる転移巣であれば、積極的に行うべきです。薬物療法で転移巣がなくなるのと同等の効果が短期間かつ少ない費用で可能となるのです。このように、転移が見つかったとしてもさまざまな治療の選択肢があることを知っておいて欲しいと思います。

 定期検査として、血液検査のほか、肺転移などを調べるために胸部レントゲン、胸部CTを行います。肝臓、副腎や後腹膜リンパ節転移、局所再発を発見のためには、腹部超音波検査や腹部CT検査を行います。そのほか骨への転移は骨シンチグラフィー、脳への転移は頭部CTや頭部MRIを用いて検査を行います。

(2014年3月4日更新)