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腎がんのリスク分類

腎がんのリスク分類

 転移があったり再発してしまったりした腎細胞がんについては、転移巣の切除、薬物療法や放射線治療などが選択肢となりますが、治療法を選ぶにあたっては、予後因子(予後を左右する因子)が何個あるかで決めるリスク分類を使用することが推奨されています。

 リスク分類の行う際に用いられる予後不良因子は、(1)Karnofsky Performance Statusが80%未満、(2)LDHが正常上限値の1.5倍を超える、(3)補正カルシウム値が10mg/dLを超える、(4)ヘモグロビン値(Hb値)が正常下限値未満、(5)腎がんの診断から治療開始まで1年未満──という5つです。

 Karnofsky Performance Status(KPS)とは、全身状態をスコア化したものです。KPSが100の場合、「正常で自他覚症状がない状態」を指します。以下、90では「通常の活動ができる。軽度の自他覚症状がある」、80では「通常の活動に努力が要る。中等度の自他覚症状がある」、70では「自分の身の回りのことはできる。通常の活動や活動的な作業はできない」となっていき、10に近くなって行くに従って全身状態が悪くなっている状態を示すものとなっています。

 LDHとは乳酸脱水素酵素のことです。エネルギー源である糖をエネルギーに変換する際に働く酵素で、細胞が損傷を受けたときに血液中に流れ出てくることが知られています。

 この5つの予後因子のうち、いくつ当てはまるかでリスクが分類されます。

 予後不良因子が1つも当てはまらない場合、Favorable riskで、生存期間は30カ月(中央値)が期待されるとされています。予後因子が1〜2個当てはまる場合、Intermediate riskで、生存期間は14カ月(中央値)とされています。予後因子が3個以上当てはまる場合、Poor riskとなり、生存期間は5カ月(中央値)とされています。

 これらの各リスク群において示されている生存期間(中央値)は、サイトカインや、今ではあまり有効ではないと考えられている抗がん剤の治療しか受けていない方を対象に解析した結果から算出されたものです。

 これまでの検討で、Favorable riskの症例や肺にのみ転移がある方では、サイトカイン(インターフェロンα製剤[IFNα製剤]やインターロイキン-2製剤[IL-2製剤])による治療が期待できるという結果が得られています(詳細は「これから手術以外の治療を受ける方へ」の項を参照ください)。逆に、Poor riskの方では、サイトカインによる治療成績は極端に悪く、サイトカイン治療は推奨されないとされています。

 ただし、近年、分子標的薬という新しい治療薬が登場してきました。その1つに、スニチニブ(商品名「スーテント」)があります。薬物治療歴のないFavorable riskあるいはIntermediate riskの進行性腎癌を対象とした、最初の治療としての有用性を比較した臨床試験において、スニチニブはIFNαに対し、癌の進行を2倍遅らせることができることが明らかになりました(詳細は「これから手術以外の治療を受ける方へ」を参照ください)。

(2012年2月1日更新)