臨床試験は、「治験」であっても「研究者(医師)主導臨床試験」であっても、これまでの治療法よりもより良い治療法を提供するために実施されるものですから、臨床試験に参加すれば、その治療法をいち早く受けられるのがメリットと言えるでしょう。
しかし、この開発中の治療法が、必ずしも優れた効果を発揮するかどうかはわかりません。想定通りの効果が得られなかったり、全く予想しない副作用が出てしまったりする可能性もあります。海外で有効だと認められた医薬品であっても、日本人ではより副作用が出やすいといったようなことも考えられます。
また、臨床試験に参加するには、病気の種類だけではなく、全身状態、がんの進行の程度、持病の有無や種類、今までの治療経過など、さまざまな基準が決められています。このような参加基準を満たさないと、臨床試験には参加できません。基準を作成するのは、新しい医薬品や新しい治療法の効果、副作用を正確に評価するために必要なことですが、できるだけ患者さんの安全性を確保するためにも重要だからです。
では、現在、国内ではどのような臨床試験が実施されているのでしょうか。
臨床試験の情報を公開している幾つかのインターネットサイトがあります。例えば、大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)は、東京大学医学部附属病院を中心とした、全国42の国立大学附属病院が加入する組織です。「UMIN臨床試験登録システム」では、国内の大学病院で実施されている、または実施する予定の臨床試験を検索することができます(「参考サイト」参照)。
日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)は、厚生労働省の研究費等に基づいて運営されている、非営利の任意団体です。ホームページでは、現在登録中の「研究者(医師)主導臨床試験」について詳しく知ることができます。
日本医薬情報センター(JAPIC)の「臨床試験情報」では、主に製薬企業主体で行っている「治験」の情報を紹介しています。また、各製薬企業のホームページでは、自社で行っている「治験」の情報を紹介していることもあります。
[参考サイト]
・大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)「UMIN臨床試験登録システム」
・日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)ホームページ
・日本医薬情報センター(JAPIC)「臨床試験情報」
・キャンサーチャンネル「臨床試験情報」
・国立保健医療科学院「臨床研究情報ポータルサイト」
・国立がん研究センター「がん情報サービス」-「がんの臨床情報を探す」