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“期待の新薬”の増加で治癒する可能性も

 使える薬剤が増えるにつれて、再発後の全生存期間は年を追うごとに長くなっています(グラフ)。そして今後も治療成績はますます向上していくでしょう。エリブリン以外にもいろいろな薬剤の開発が進んでいます。

 細胞の成長と増殖を促すシグナル伝達経路にかかわるmTOR(エムトール)というたんぱくを阻害する薬、エベロリムス(商品名アフィニトール)は、ホルモン療法が効かなくなった閉経後の再発乳がん患者に対し、ホルモン療法薬のエキセメスタン(商品名アロマシン)との併用で無増悪生存期間(PFS:がんが悪くならないまま生きられた期間)を約4カ月延ばしたという成績が2011年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表されました。

 HER2陽性の再発乳がん治療については、分子標的薬のトラスツズマブ(商品名ハーセプチン)に抗がん薬のDM1を組み合わせたトラスツズマブ‐DM1(T‐DM1)が、トラスツズマブとドセタキセル(商品名タキソテール)の併用に比べて無増悪生存期間を約5カ月延ばしたという結果も同学会で発表されました。これらの治療薬は「3〜4年先には、再発後の1次治療薬として用いられるようになるだろう」と岩田さんは期待を寄せます。

 このように、専門医にとって使える?選手?層が厚くなっていくなか、いずれ治癒すら目標に掲げられる時代が来るかもしれないという期待も出てきました。現時点では「再発後は“治癒が目標”という治療設計図を描けないけれども、症状の緩和、症状発現の先送り、延命を目指して治療をしていくうちに、結果として治癒する人も少なからずいる」(渡辺さん)と、経験を積んだ臨床医は手応えを感じているそうです。

 例えば、トラスツズマブの登場以前は予後が悪いとされたHER2陽性タイプについても、「トラスツズマブと抗がん薬の組み合わせで、劇的によくなる患者さんがいる」と渡辺さん。ただし「この人は治癒が見込める、この人は難しい」などと、あらかじめ分類するのは難しいとのこと。

 再発乳がんの治癒の可能性について、残念ながら今のところは科学的根拠がありません。しかし、将来的には再発乳がんの治癒もあり得るという希望の光が見えてきました。

再発からの全生存期間は年々延長している

(2013年2月8日更新)