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タキサン単独も、選択肢の一つに

 アントラサイクリン系の抗がん薬が治療の中心であることには変わりはありませんが、心臓への影響や白血病などの二次がんへの懸念から、アントラサイクリン系を含まない治療法の検討も進んでいます。

 タキサン系のドセタキセルとシクロホスファミドを用いるTC療法とAC療法を比較したら、TC療法のほうが7年生存率で上回ったという報告もあります。またタキサン系単独での治療が、AC療法後にタキサン系を用いた場合に劣らないという日本の試験結果も示されています。

 これらのことから、TC療法やタキサン系を単独で用いる治療についても、「推奨グレードB」と位置づけられました。

副作用とQOLを、天秤にかけて選択

 CMF療法(シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシルの併用)は、アントラサイクリン系やタキサン系より歴史の古い治療法です。こちらも標準治療です。

 ただし、アントラサイクリン系の抗がん薬を含む治療法とCMF療法を比較した研究では、アントラサイクリン系を含むほうが5年生存率は約3%、10年生存率は約4%高く、CMF療法は効果の面でやや劣ることが明らかになっています。

 一方で、脱毛や吐き気、白血球の減少などの副作用は、アントラサイクリン系の抗がん薬よりCMF療法の方が少ないことが分かっています。

 どのような治療が最適かは、患者さんの病気に対する考え方や希望によっても異なります。どうしても脱毛は避けたいという人や、高齢などの理由で、再発リスクを下げる治療よりも生活の質(QOL)を重視したいなら、副作用の少ないCMF療法を選択する手もあるわけです。

外来化学療法が今後の主流に

 近年、抗がん薬療法や分子標的療法は、外来で行えるケースが増え、患者さんの利便性が高まりました。簡易ベッドやリクライニングチェアに横たわり、点滴治療を受けます。

 今回行った「乳がん診療に関する全国調査2012」で紹介する医療機関の96%が外来化学療法を行っています。すべての薬剤が外来で投与できるわけではありませんが、患者さんの状態も見つつ、可能であれば外来で化学療法を行うのが一般的になっています。

(2013年2月8日更新)