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抗がん薬の要・不要、カギを握るKi67

 ホルモン陽性で、HER2陰性の場合は、「ホルモン療法単独」でいい場合と、「抗がん薬療法・ホルモン療法の併用」が必要な場合があります。抗がん薬が必要かどうかは、副作用のことを考えたら大きな違いです。

 ザンクトガレン乳がん国際会議( 2011年3月)の合意事項(コンセンサス)における推奨では、Ki67で抗がん薬療法の要・不要を分けました。Ki67が低値(14%未満)なら抗がん薬は不要、Ki67が高値(14%以上)なら抗がん薬が必要、としています。しかしKi67の測定は施設間でもばらつきがあります。やみくもに14%という数値にとらわれず、総合的な評価が必要なようです。

 なお、二つのホルモン受容体(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体)、HER2がともに陰性の「トリプルネガティブ」と呼ばれる乳がんには、抗がん薬療法が必須です。

遺伝子の発現解析は、健康保険適用外

 ホルモン療法単独でいいのか抗がん薬の併用が必要かの判断材料とするために、「複数遺伝子の発現解析」も行われています。再発のリスクを、より細かく予測することができます。

 「オンコタイプDX」や「マンマプリント」といった検査方法がありますが、1回に約40万円の費用がかかります。健康保険の適用外のため、全額自己負担です。

 日本でも検査を行う医療機関が増えつつありますが、「乳がん診療に関する全国調査2012」で紹介する医療機関のうち16%にすぎません。「患者さんに説明をしても、高額なため希望する人が少ない」といった声も多く聞かれます。

「患者の希望」で、治療方針も変わる

 さまざまな検査の結果を見て治療方針が決められていくわけですが、患者さん一人ひとりの希望も重要な要素の一つ。ご自身の状況や価値観という“検査結果”を医師にきちんと提示することは、薬物療法の方針決定に欠かせないといえるでしょう。

 また一昔前までは、薬物療法は手術のあとに行うのが一般的で、「薬物療法」=「術後薬物療法」といってもいいくらいでしたが、近年では術前薬物療法も盛んに行われるようになりました。どの薬剤で治療するかに加えて、いつ薬物療法を行うかということも検討課題です。医師とよく相談して決めて下さい。術前・術後の薬物療法に用いる薬剤の詳細や治療期間、副作用などについては、ホルモン療法、分子標的療法、抗がん剤療法のページを参考に。

術前・術後の薬物療法の選び方
どのような薬で治療するかは、病理検査で決まります。ホルモン感受性があるか(陽性)ないか(陰性)、HER2たんぱくが過剰にあるかどうか、増殖のスピード(Ki67)は―などを検査し、乳がんのタイプやリスクに応じて、転移や再発を防ぐ治療法を選択します。

(2013年2月8日更新)