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 また、再建する時期も、乳がんの手術と同時に行う一期(同時)再建と、手術後しばらくして行う二期再建という二つのタイミングがあります。

再建のタイミングは2つある

 人工物再建では、乳房の形をしたインプラントを入れるため、全切除が前提に。再建する場合、皮下乳腺全摘といって、皮膚は残し、中の乳腺だけを取ります。一期再建なら乳がんの手術時に、乳腺を取り除いた乳房内にエキスパンダーという、皮膚を伸ばしておくための器具を入れ、半年以上たってからインプラントに入れ替えます。インプラントは、ブレストサージャリークリニックの場合、何種類もの中からその人の乳房に近いものを選びます。二期再建の場合は、乳がん手術の後に、期間をおいてエキスパンダーを入れ、半年ほどかけて十分に皮膚を伸ばしてからインプラントに入れ替えます。二期再建は術後何年たっても受けられます。

言葉は同じ「温存」でも医師により温度差が…
写真のような状態でも「温存」と見なす医療機関も。乳房の整容性に理解があり、切る位置など手術の仕方を工夫する医師がいる一方、そうでない医師もいるのが実情だ。(写真提供/矢野さん)

 「一期でも二期でも、きれいな乳房をつくるには外側の皮膚が十分にあることが大事。術後しばらくすると皮膚は縮んでしまいますから、乳がん手術時に皮膚を伸ばすためのエキスパンダーを入れておくことをおすすめします」(岩平さん)。乳がん手術時にエキスパンダー挿入も行える医療機関は、近年増えているそう。

 一方、自家組織再建の場合は一期再建が基本で、「温存術でも全摘術でも再建は可能」と矢野さん。「大阪大学では『温存+再建』をセットで乳がんの手術ととらえています。希望者には、乳腺外科と形成外科が連携して、乳がん手術と同時に再建も行います。患者さんは喪失感を持たずにすみ、乳腺外科も再建を前提とした手術なので切除範囲を広めにとれる、つまり根治の可能性も上がります」。

 同大では広背筋皮弁、腹直筋皮弁、穿せん通つう枝し皮弁と呼ぶ3種類の組織を使う自家組織再建法に加え、人工物再建にも対応(エキスパンダー挿入のみ。インプラント入れ替えは保険適用外のため別施設で実施)。

 再建方法は、「乳がんの術式と、患者さんの状態に合わせて選ぶのが望ましい」と矢野さん。たとえば脂肪が少なく乳房に移植する量が足りない人は人工物再建、小さめの乳房の再建なら脂肪の少ない広背筋皮弁を用いての再建、というように、同大には術式を選ぶ基準が設けられており、その人の希望も聞いた上で決定するそう。

 ただ、人工物再建も自家組織再建も術式も選べるという、選択肢が広い医療機関は限られているのが現状です。また、大阪大学のように「温存+再建で乳がん治療」と考えられるのは、乳腺外科と形成外科との強い連携があってこそ。診療科の連携が増えつつあるとはいえ、乳腺外科がイニシアチブをとる日本の乳がん治療においては、まだ少ないようです。