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 がんはきちんと治療したい、でもそのために乳房が犠牲になるのはいや。そう思っていても以前は、乳房がなくなっても、変形しても、治療のためには仕方ないと、受け入れざるを得ない状況がありました。

岩平佳子さん
ブレストサージャリークリニック(東京都港区)院長
東邦大学医学部卒業。マイアミ大学形成外科留学、東邦大学医学部助教授などを経て、2003年にブレストサージャリークリニックを開設、数多くの乳房再建を手掛ける。NPO日本乳房インプラント研究会理事。

 しかしここ数年の間に、乳房をきれいに残したい人には、治療の延長線上に「乳房再建」という選択肢があることがかなり浸透してきています。

 できるだけ切除範囲を小さくし、乳房を残す「温存術」は今も手術の主流ではありますが、「温存といっても、“きれいな”乳房が残るとは限らない、ということは数年前に比べ、だいぶ世間に認識されてきたのでは」とブレストサージャリークリニック(東京都港区)院長の岩平佳子さん。

 大阪大学大学院医学系研究科乳房再生医学寄附講座教授の矢野健二さんも、「患者さんも医療機関も、温存さえすればよい、という風潮は収まってきた」と、口をそろえます。「がんの手術をしたうえ、さらに体にメスを入れるのには抵抗がある、という人は確かにいます。でもほとんどの人は、残せるものなら残したい、そして、残すならきれいに残したい、と思うでしょう」(矢野さん)。

 再建は決して「ぜいたく」ではなく、がんで負った心の傷を和らげ、自信をもって今後の人生を歩むうえで、遠慮なく望んでよい選択肢なのです。

きれいな乳房のために「全切除」を選択する道も