乳がん百科TOPページ

手術前後の治療でも費用が積み上がる

 手術後は通常、数年にわたり、放射線療法や抗がん薬、ホルモン薬などを使う薬物療法の治療が必要になります。また最近は手術の前にも薬物療法を行うケースも増えています。これらの治療費に特に大きな影響を与えるのは、高価な薬物を使用した場合。「薬物療法で重要な位置を占める分子標的薬のハーセプチン(一般名トラスツズマブ)は、非常に高価。ハーセプチンを使うと、年間の自己負担額(3割)は約76万円、1カ月あたり約6万3000円になります」(伊木さん)。

 さらに手術後に乳房再建を希望する場合は50〜100万円の費用が必要になります。また、がん治療の副作用であるリンパ浮腫の治療を行えば、別途その費用も加わります。

健保組合にも確認、医師にも遠慮せず質問を

 こうした乳がん治療中の経済的負担を軽減するために活用したいのが、健康保険の「高額療養費制度」です。保険が適用できる治療費の1カ月の自己負担額が規定額(70歳未満・一般の場合、約8万円)を超えると、それ以上の額が払い戻されます。

 手続き後に還付されるのが基本ですが、入院時は事前に「限度額適用認定証」を申請しておけば、立て替え払いの必要はなく、精算時に病院窓口で自己負担分のみを支払えばOK。また2012年4月からは外来でも限度額適用認定証が使えるようになりました。限度額を超える治療では認定証の申請を。

 高額療養費制度を使えば、手術や薬物療法などで数百万円の費用がかかることもある1年目の治療費も、実際に支払う額は1000万円ほどに軽減するケースも。

乳がんの月別治療費の目安

 また加入している健康保険組合や共済組合によっては、自己負担額が2割で済むところや、1カ月の自己負担上限額が数万円に設定されているところもあるので、確認しておきましょう。

 「長い治療期間中、安心して治療を受けるためには、治療費の見通しを立てておくことはとても重要です。米国では既にがん治療にかかる費用について患者に説明することは、医師のサービスでなく“義務”になりつつあります」(伊木さん)

 各地の医療機関が運営するがん相談支援センターなどでは個々の治療費まで把握していないこともあるため、「やはり治療方針を提示する医師本人に、入院・手術や薬物療法などで具体的にいくらかかるのか、遠慮せずにきちんと確認を。治療費についても納得したうえで、治療に臨んでください」(伊木さん)

(2013年2月8日更新)