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土井卓子(たかこ)さん
湘南記念病院かまくら乳がんセンター(神奈川県鎌倉市)センター長
横浜市立大学卒業後、横浜医療センター外科部長等を経て、2009年より現職。日本乳癌学会乳腺専門医。

 2009年末、全国の医療機関を対象に行った本誌のアンケート調査では、97%と、ほとんどがセカンドオピニオンのみの患者さんを受け入れていました。

 また、99%の医療機関が、患者さんがセカンドオピニオンを得るために他の医療機関へ行きたいと申し出た場合、検査資料や病理標本などを提供していると回答。ひと昔前に心配されたような、セカンドオピニオンの希望を伝えて医師に嫌な顔をされたり、データの提供を拒否されたり、ということはほぼないようです。しかし、だからといって、ただ「もう一人別の医師に話を聞く」だけでは実りあるものにはなりません。

 「そもそも乳がんは、ほかのがんと比べて、患者さんが自分で治療法を選択できる余地が大きい」と話すのは、湘南記念病院かまくら乳がんセンター(神奈川県鎌倉市)のセンター長、土井卓子さん。

 「病状によっては選択肢のないケースもありますが、基本的に、乳がんは手術の方法、治療の順番などが、あまり予後に影響しません。ですから、患者さんのライフスタイルや置かれた環境、年齢などによって選べる事柄が多いのです。例えば、手術には大きく分けて温存と全切除がありますが、放射線療法を毎日受けに行く時間の余裕がなければ全切除→再建を、変形しても自分の乳房を残したいなら温存を選べます」(土井さん)

 しかしそれは「迷いやすい」ことと表裏一体。主治医に言われた治療内容が本当に自分にとってベストなのか、ほかの治療法はないのかなどを判断し、治療方針を決定するために行う情報収集の一つが、セカンドオピニオンなのです。

情報の「交通整理」をして、「進む道」を決める手段

 もう一つ、セカンドオピニオンを受けたいケースに「今の主治医の下では行っていない治療法を希望する場合」があります。

 乳がんだけの話ではありませんが、病院によって得意とする治療法があったり、逆に行っていない治療法があったりなど、ばらつきがあるのが現状。「例えば術前薬物療法やセンチネルリンパ節生検を行っていない病院もありますし、ラジオ波熱凝固療法などの先端的な治療を行っている病院もあります。ですから、自分の受けたい治療法を行っている医療機関にセカンドオピニオンを求める意味も出てくるのです」(土井さん)。

 つまり、セカンドオピニオンは、「たくさんある情報を“交通整理”して、自分の進みたい道をはっきりさせるために使うといい」と土井さん。ほかに治療法の選択肢はないか意見をもらい、自分で納得して治療法を選択するために有効な手段といえるでしょう。

 実りあるセカンドオピニオンを受けるためには、「何を知りたいのかはっきりさせること」と「医師をきちんと選ぶこと」と土井さんは話します。

 「そのためには、患者さんも乳がんについてあらかじめ勉強しておくことが大事。受け身で医師の話を聞くのではなく、分からないことをこちらからどんどん質問し、得たい情報を引き出しましょう」(土井さん)

セカンドオピニオンとその後の動き

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