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 乳がんの治療法は、病期(ステージ)やがんの数、位置などによってさまざま。乳管内にがんがとどまっている「非浸潤がん」なら、がんがある部分に対する局所療法が中心ですが、がんが乳管の外へ出てしまった「浸潤がん」になった時点で、全身病として全身療法を行うべきと考えられています(下図参照)。明らかな遠隔転移が見られない段階でも、全身にがん細胞が広がっている可能性があるからです。

乳がん治療は、これらの治療法を組み合わせて行います

 具体的な治療法には、手術(外科療法と呼ぶこともある)、放射線療法、薬物療法があり、薬物療法はさらに、ホルモン療法(ホルモン薬を使用)、分子標的療法(ハーセプチンやタイケルブなどの分子標的薬を使用)、抗がん薬療法(化学療法と呼ぶこともある)の3種類に大別されます。手術や放射線療法による局所療法で大きながん組織を取り除き、検査では見えないような小さながん細胞は、全身療法(薬物療法)で退治するというのが、乳がん治療の基本的戦略で、この考え方は「集学的治療」と呼ばれています。

手術後も含めた治療法の情報を得る

 手術には、乳房の一部を切除する乳房温存術と、胸筋を残し乳房を全部とってしまう乳房切除術があります。温存術は病変が3cm以下で、ほかに転移がないことなどが基本的な条件。3cm以上の場合は術前薬物療法でがんを小さくしてから温存する方法もあります。

 2010年末に本誌が全国の医療機関を対象に行ったアンケート調査では、乳房温存率は63%。術前薬物療法で腫瘍が小さくなれば温存、縮小しなければ全摘(切除)すると回答した医療機関は70%に上りました。

 ただし、温存術の場合、切除範囲が広いと乳房が変形したり、乳頭の位置が大きくずれるケースや、術後に当てた放射線で皮膚が萎縮してしまう可能性も。「乳房再建」という選択肢も頭に置いて、事前に術後の乳房のイメージを描き、最適な方法を選びましょう(乳房再建については「乳房再建について」を参照)。

 わきの下にあるリンパ節への転移の有無が分からないときは、「センチネルリンパ節生検」を行います(下の囲み参照)。これは、体への負担が大きいリンパ節の切除が必要かどうかを見極める検査です。

知っておきましょう

術前薬物療法とは
 乳房の温存を希望する場合、手術前に抗がん薬などでがんを小さくする治療法のこと。そのままでは乳房切除もやむを得ない状態でも、これにより切除範囲を小さくでき、温存可能になることも。ただし、期待したほどがんが小さくならず、結局温存できないケースもある。また、がんのタイプなど、適応には制限があるので確認を。

センチネルリンパ節生検とは
 全身への転移の可能性がある場合、以前は手術でわきの下のリンパ節すべてを取るのが一般的だったが、近年では最初にがん細胞が届くリンパ節を探し出し、転移の有無を検査する「センチネルリンパ節生検」が普及している。検査でこのリンパ節に転移がなければ、それ以上リンパ節を取らずに済むので、腕のむくみなどの副作用を軽減できる。2010年4月から保険適用となった。

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